遊戯療法において役立つアートは、「感情・無意識・象徴の表現を可能にするもの」です。
以下に、臨床心理的にとくに有効とされるアート表現を紹介します。それぞれのアートには治癒的な機能があり、遊戯的表現の延長として大人にも適用可能です。
🎨 遊戯療法に役立つアートの種類
① 描画(ドローイング)
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クレヨン・パステル・水彩などで自由に絵を描く。
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主観的イメージ(夢・感情)を色や線で表現。
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投影法的要素が強く、「世界で一枚の自分の心の風景」を可視化できる。
🔹治癒効果:感情の放出、無意識との対話、抑圧された記憶の浮上
② コラージュ(切り貼り)
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雑誌や写真、布、紙などを切って貼り合わせる。
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「今の自分」「欲しい未来」など、テーマ設定して作ることも。
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左脳(論理)を休ませて、右脳的な選択で直感が働く。
🔹治癒効果:自分の深層欲求や価値観の発見、全体感の統合
③ 粘土・造形(立体表現)
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素手で触れられる素材(紙粘土、石膏など)で感覚的に形を作る。
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インナーチャイルドや怒り、不安など、言語化が難しい情動を形にする。
🔹治癒効果:身体感覚とのつながり、触覚からくる安心感、トラウマの象徴化
④ 箱庭(サンドプレイ)
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砂とフィギュアを使って三次元の物語世界を構築する。
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抑圧された記憶や関係性の象徴が浮かび上がる。
🔹治癒効果:過去の出来事の再構成、関係性の視覚化、安心の体験
⑤ 曼荼羅(マンダラ)アート
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円形の中に自由に模様や色を塗る。ユング心理学から発展。
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「無意識の秩序化」「自己統合」を助けるとされる。
🔹治癒効果:混乱した心を中心に収束させる、自己と世界の再統合
⑥ ビジュアル・ジャーナル(日記+絵)
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感情・夢・内的対話を、文字+絵で綴るセラピー形式。
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IFSや内観、夢作業と組み合わせると効果的。
🔹治癒効果:自己との関係を深める、内的声を可視化する
🧠 どれを選ぶかのヒント
状態 | おすすめのアート形式 |
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言葉にならない怒りや不安 | 粘土・描画・マンダラ |
人間関係を見つめ直したい | 箱庭・コラージュ |
内なる子どもと出会いたい | 絵本づくり・自由画 |
自己理解と統合を深めたい | ビジュアルジャーナル・曼荼羅 |
🧩 応用アイディア(例)
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「今日の感情を3色で描く」
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「インナーチャイルドの部屋を箱庭でつくる」
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「“いま欲しい世界”をコラージュで描く」
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「“安全な場所”をマンダラで塗る」