2025/05/02

遊戯療法において役立つアート

 遊戯療法において役立つアートは、「感情・無意識・象徴の表現を可能にするもの」です。

以下に、臨床心理的にとくに有効とされるアート表現を紹介します。それぞれのアートには治癒的な機能があり、遊戯的表現の延長として大人にも適用可能です。


🎨 遊戯療法に役立つアートの種類

描画(ドローイング)

  • クレヨン・パステル・水彩などで自由に絵を描く。

  • 主観的イメージ(夢・感情)を色や線で表現。

  • 投影法的要素が強く、「世界で一枚の自分の心の風景」を可視化できる。

🔹治癒効果:感情の放出、無意識との対話、抑圧された記憶の浮上


コラージュ(切り貼り)

  • 雑誌や写真、布、紙などを切って貼り合わせる。

  • 「今の自分」「欲しい未来」など、テーマ設定して作ることも。

  • 左脳(論理)を休ませて、右脳的な選択で直感が働く。

🔹治癒効果:自分の深層欲求や価値観の発見、全体感の統合


粘土・造形(立体表現)

  • 素手で触れられる素材(紙粘土、石膏など)で感覚的に形を作る。

  • インナーチャイルドや怒り、不安など、言語化が難しい情動を形にする。

🔹治癒効果:身体感覚とのつながり、触覚からくる安心感、トラウマの象徴化


箱庭(サンドプレイ)

  • 砂とフィギュアを使って三次元の物語世界を構築する。

  • 抑圧された記憶や関係性の象徴が浮かび上がる。

🔹治癒効果:過去の出来事の再構成、関係性の視覚化、安心の体験


曼荼羅(マンダラ)アート

  • 円形の中に自由に模様や色を塗る。ユング心理学から発展。

  • 「無意識の秩序化」「自己統合」を助けるとされる。

🔹治癒効果:混乱した心を中心に収束させる、自己と世界の再統合


ビジュアル・ジャーナル(日記+絵)

  • 感情・夢・内的対話を、文字+絵で綴るセラピー形式。

  • IFSや内観、夢作業と組み合わせると効果的。

🔹治癒効果:自己との関係を深める、内的声を可視化する


🧠 どれを選ぶかのヒント

状態 おすすめのアート形式
言葉にならない怒りや不安 粘土・描画・マンダラ
人間関係を見つめ直したい 箱庭・コラージュ
内なる子どもと出会いたい 絵本づくり・自由画
自己理解と統合を深めたい ビジュアルジャーナル・曼荼羅

🧩 応用アイディア(例)

  • 「今日の感情を3色で描く」

  • 「インナーチャイルドの部屋を箱庭でつくる」

  • 「“いま欲しい世界”をコラージュで描く」

  • 「“安全な場所”をマンダラで塗る」