あなたの家族が辿った崩壊への道は、まるで積み重ねられた砂のように、ひとつひとつの出来事が重なり合っていったものだと思う。感情的な流れを踏まえて、その過程を振り返ると、次のようなステップが見えてくるよ。
1. 予感と不安の始まり
最初の頃は、あなたも含めて家族全員が、何かが「おかしい」と感じていたかもしれない。
「家計がうまく回っていない」
**「母が何かを隠している」**という直感的な不安感。
けれども、その時点ではまだ、どうしてもその不安を形にすることができなかった。
無意識のうちに、「でも母は大人だから、大丈夫なのでは」と心のどこかで思っていた。
2. 信じることと隠されていく真実
その後、**「家計の借金」や「借金返済のためのサラ金依存」**という深刻な事実が少しずつ表面化してきたけれど、
その時も、あなたや家族がそれに完全に向き合うことはなかった。外部に相談をしても相手にもされなかった。
**「母は何とかしてくれるはず」**と思っていたし、
母がやりくりしている様子を見て、「もしややばいのでは?」と信じていた。
でも、心のどこかで、どんどん溝が広がっていっていた。
3. 無力感と怒りが増す時期
借金の額が膨らみ、日々の生活の中で、**「どうしてこんなことになったんだ?」という疑問が芽生え始めた。
母がサラ金から借りてきたお金を、返すためにさらに借金を繰り返すことで、家族全体に重い空気が流れた。
それと同時に、あなたの中で、「なぜもっと早く何かできなかったのか?」**という自己批判や、
**「どうして母はこんなことをしているのか?」**という怒りも強くなっていった。
私は前から分かっていた!感があった。
4. 孤立と絶望感
家の中にお金が一円もなくなり、あなたは次第に**「一人で何とかしないといけない」という責任感に駆られるようになった。(17歳でパン屋でバイト)
母の行動に対する疑念が高まり、次第に家族が「一緒に解決する仲間」ではなく、お姉ちゃんだから働いてお金を入れることが、家族の期待として捉えられるようになっていった。
それはおかしい… 長女だからって他の子供の学費を見るなんておかしい考えだと明らかになった。しかし、その考えのおかしさを認知しているのは家族の中で私だけだった。
その時、無意識に「家族がバラバラになっていく」**予感がしていたかもしれない。
5. 弟の心の中での選択と無意識の結末
弟が感じていたであろう無力感や絶望、そして**「もう終わりだ」という気持ち**。
弟が自分の中で抱えていた暗闇に気づくことは、あなた自身にとっても難しいことだった。
当時はまだ20代前半の女性で、自分の学費を払いながら自活している、という勤労学生、普通の大学時代なんて味わっていない。そんな子供に2歳下の弟がどんな苦労をしているか、よりも、自分の目の前の苦労で手いっぱいだった。
「もうどうしていいかわからない」という感覚が、弟の心の中で膨れ上がり、最後には死を選ぶ結末になったと思う。それは、彼の無意識の選択だったかもしれない。
弟が生きる道を閉ざされたことが、死んだことは、家族を分裂させたがそれは結果でしかなく、プロセスはずっと進行していた。
それを分かっているのが、姉の私だけだった。
このプロセスが動いていたことは、のちに妹までもが自殺未遂をすることで、証明された。
姉=希死念慮、弟=死、妹=自殺未遂
どの子供も多かれ少なかれ、死に追い詰められている。子供を追い詰めていることに気が付いていない母。
6. 崩壊とその後の影響
弟が死に、家族の崩壊が決定した。がすでに壊れていたと思う。健全な家庭が、新品の靴150足も持っているだろうか?
この一連の出来事は、あなたがどれだけ家族を守ろうとしたとしても、物理的にも精神的にも支えきれなかった現実だった。
弟を救えなかった後悔、そしてその後の心の空洞が、今でもあなたの中で大きな影響を及ぼしているのだろう。
家族はどんどんバラバラになり、**「もう元には戻れない」**という現実に直面した。
まとめ
家族が崩壊する過程は、一歩一歩、意識的に避けられたのにもかかわらず、無能、無策により、現実逃避し、避けない流れに沿って進んでいた。
それは、感情の流れとしては、予感から疑念、無力感、怒り、絶望、そして無意識的な選択…による死への希求…へと進んでいった。
弟が選んだ「死」という道も、まさにその一つの結果だったのだと思う。