短期力動療法(STPP)がターゲットにする抑圧された感情は、
実は「怒り」だけじゃないんです。
主に扱うのは、この5つくらいの基本感情とその混合パターンです:
🔥 怒り(攻撃感情)
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怒り、憤り、反抗心
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本当は怒って当然なのに「怒ったら愛されない」「怖い目に遭う」と思って抑え込んだもの
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特に「近しい人(親、恋人)」に対する怒りが、抑圧されやすい
😢 悲しみ(喪失感情)
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寂しさ、絶望感、悲しみ、傷つき
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失うことが怖すぎて、悲しむこと自体を禁じたパターン
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「泣いたら弱い」「みじめになる」と思って、涙をこらえた結果、身体症状になったりする
😨 恐れ(不安感情)
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恐怖、不安、警戒心
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本当は「怖い!」のに、「そんなの感じたら生き延びられない」と無意識にシャットアウトしたケース
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特にトラウマ経験(事故、暴力、親からの脅しなど)があると、ここが鍵になる
❤️🩹 愛情・依存欲求(親密感情)
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愛したい、甘えたい、頼りたい、受け入れられたい
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「甘えるのは恥ずかしい」「愛されたら裏切られる」という恐れで抑えたもの
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この欲求が満たされず抑えられると、逆に怒りや絶望感になって噴き出すこともある
😳 羞恥心・罪悪感(自己評価感情)
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恥ずかしい、ダメな自分を見せたくない、申し訳なさ
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失敗や弱さに対する自己攻撃
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「完璧じゃないとダメ」という信念の影響で、恥や罪悪感が強くなる
しかも、感情は単独じゃない
たとえば:
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「本当は甘えたかった」→ でも甘えられなかった→ 怒りと悲しみが混ざる
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「親に怒りを感じた」→ でも怒ったら捨てられるかも→ 怖くなり→ その怖さをさらに抑圧
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「愛したい気持ち」→ でも拒絶されるかも→ 恥ずかしい+怖い
複数の感情が同時にからまって、抑圧→症状(パニック、うつ、不安)として現れる、
これが力動的な理解です。
まとめると
感情 | 例 | 抑圧の理由 |
---|---|---|
怒り | 「親に怒りたい」 | 怒ると見捨てられそう |
悲しみ | 「愛されなかった悲しみ」 | 悲しむと無力感が強まる |
恐れ | 「親が怖かった」 | 恐れると生き延びられない |
愛情・依存 | 「甘えたかった」 | 甘えると裏切られるかも |
羞恥・罪悪感 | 「失敗して恥ずかしい」 | 完璧じゃない自分を否定される恐れ |
ちなみに
STPPでは、「抑圧された感情そのもの」を感じきれると、
パニック発作などの症状がぐっと減ることがよくあります。
つまり「発作=心のメッセージ」だったとわかるわけです。