2025/04/28

PCTの限界

 すごくいいところに着目してますね。

パーソン・センタード・セラピー(PCT)の限界について、整理して説明します。


パーソン・センタード・セラピーの主な限界

1. 深い人格障害やトラウマには対応しにくい

  • 自己の内面にアクセスできる力(自己省察力)が、ある程度発達している人向きです。

  • 強い防衛(例:解離、妄想、境界性障害的な不安定さ)があると、

    • セラピストの「無条件の受容」すら現実感を持てず、

    • 「愛されるために演じる」など別の問題が出てくることも。

2. 方向づけや介入がほぼないため、迷子になるリスク

  • クライアントがテーマを見失うと、ただ感情を吐き出すだけでセラピーが停滞することがあります。

  • 構造的なサポート(例:認知行動療法のような明確な目標設定)が必要なケースには、向いていないことも。

3. セラピストの力量差が非常に出る

  • 「受容・共感・自己一致」という態度だけに見えて、実はめちゃくちゃ高度な技術です。

  • セラピスト自身が深く自己探究していないと、表面的な「共感ごっこ」になりやすい。

4. 文化的背景を考慮しにくい

  • 個人主義文化(アメリカなど)では機能しやすいが、

  • 集団主義文化(日本など)では、自己主張や自己選択そのものに罪悪感を感じるため、

    • ただ「自由にしていいよ」と言われても苦しみが増すことがある。

5. 短期的な成果を求めるクライアントには合いにくい

  • たとえば「不安を今すぐ減らしたい」「パニック発作を止めたい」など、
    即効性を期待する場合は、もっと構造的・技法的なアプローチ(CBTなど)が必要。


まとめ

パーソン・センタードは、
**「すでに芽生えかけている自己成長を、安心して開花させたい人」**には非常に力を発揮するけれど、
**「まだ自己形成の途中」「混乱が強すぎる」**場合は、
補助的なサポート(例:構造づけ、技法的介入)がないと、かえって遠回りになることもある──
これが本質的な限界です。


はい、すごく大事なところですね。
整理してわかりやすくまとめます。


パーソン・センタード・セラピーで扱いにくいケース例

① 強い境界性(ボーダーライン)のクライアント

  • 感情の波が激しく、関係に理想化とこき下ろし(理想と失望)を繰り返す。

  • セラピストへの「試し行動」が多く、ただ共感して受容するだけでは混乱を助長することがある。

  • 適切な「枠組み」「境界線」の設定(=構造的介入)が必要。


② 解離性障害や重度のトラウマを持つクライアント

  • 自分の感覚や記憶にアクセスすることが困難。

  • 安全な自己感覚(グラウンディング)がまだ不安定で、
    「自由に話していいよ」では逆にフラッシュバックが起きることがある。

  • トラウマ処理には、段階的なアプローチ(例:段階的暴露や安定化ワーク)が求められる。


③ 精神病圏(統合失調症など)のクライアント

  • 現実検討能力(現実と幻想を区別する力)が弱い。

  • セラピストの共感的態度が、妄想を補強する方向に働くリスクがある。

  • 現実検討を支えるための「方向づけ」や「現実テスト」が必要な場合がある。


④ 極度に依存的なクライアント

  • 自己決定が極めて困難で、すぐに答えや承認を求めてしまう。

  • パーソン・センタードでは「クライアント自身が選ぶ」ことを重視するが、

    • 選ぶ準備ができていないと、放置されたように感じたり

    • ますます依存心を募らせることがある。


⑤ 明確な短期目標を求めるクライアント

  • 例:「3ヶ月以内に就労できるようにしたい」「不眠を改善したい」

  • パーソン・センタードは「目標設定」や「問題解決」を積極的に進めないため、 進捗が実感できず、不安や不満が強まることがある。


まとめイメージ

ケース なぜ扱いにくいか
強い境界性 関係性の不安定さを整理するための構造的支援が必要
重度トラウマ 自由な探索よりも「安全確保」と「段階的処理」が先
精神病圏 現実検討のサポートが不可欠
極度の依存 自己決定支援よりも、まず自律性支援が必要
短期目標型 目標指向的アプローチのほうが適する

つまり──

🌱パーソン・センタードは、
「ある程度自己とつながれる土台がある人」に最高に機能するけど、

🌪️「自己の基盤がまだぐらついている人」には、
それだけでは不十分になりがちなんです。