「共依存があるからこそ、他者の痛みを察知できる“超感覚”が育った人もいる。」
は、IFS(内的家族システム)でいうところの「共感センサーのようなパーツ」が、実は**かつての痛みに根ざした守り手(プロテクター)**である可能性を示唆しています。
以下はこのパーツとのIFS的な対話の例です。
🌀IFS対話例:「他者の痛みを察知する超感覚パーツ」
🔸登場パーツ
名前(仮):センサーちゃん(過剰共感パーツ)
役割:誰かの痛みや不安をすぐに感じ取り、先回りして動こうとする
年齢感:9歳くらいの女の子。目が大きくて、いつも気を張っている
👤セルフ(穏やかで好奇心のある自己):
こんにちは、センサーちゃん。いてくれてありがとう。今、ちょっと話せるかな?
🧠センサーちゃん:
うん…いいけど…誰か困ってる人がいたら、すぐに教えてあげないとって思ってるの。
👤セルフ:
それがあなたの大切な役割なんだね。誰かの困りごとにすごく敏感なんだね。いつからそんなふうになったのかな?
🧠センサーちゃん:
小さい時にね…ママがよく泣いてて、私が空気を読んで動かないと、すごく大変になっちゃってたの。
だから、“察する”ことは、生き残るために絶対必要だったの。
👤セルフ:
なるほど…それはすごく大変だったね。よく頑張ってきたね…。
誰かがつらそうにしていると、あの時の感じがよみがえってくるのかな?
🧠センサーちゃん:
うん…。だから、誰かが困ってると、私が先に動いて、安心させなきゃってなるの。
見捨てられたくないし、見捨てたくないし…。
👤セルフ:
それって本当につらかったね。あなたはママを守ろうとしていたんだね。
それに今も、私が見落としそうな痛みに気づかせてくれてるんだね。ありがとう。
🧠センサーちゃん:
……(少し泣きながら)うん……気づいてくれてありがとう。
👤セルフ:
センサーちゃん、もし私がちゃんと気づいて動くことを約束したら、あなたは少し休んでみようかなって思えるかな?
🧠センサーちゃん:
…ほんとに?私がいなくても誰かを見捨てたりしない?置いていったりしない?
👤セルフ:
うん、約束するよ。私がちゃんと見てるし、もし見落としても、気づいたときに対応する力があるよ。
あなたがくれた「察する力」は、これからも私がちゃんと使うから。
🧠センサーちゃん:
……わかった。じゃあ、ちょっとだけお昼寝してみる。
🪞この対話で起きていること
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センサーちゃんは、共依存的なふるまいをする“守り手”パーツです。
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その背後には、**子ども時代に安全を保つために身につけた“察する力”**という知恵と痛みがある。
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セルフがその努力を承認し、「今はもう、別のやり方で安全を保てる」と示すことで、センサーちゃんはその役割を少し緩めることができます。
■
ああ――それは大事なポイントですね。
つまり、「察してくれ」とは思っていないけど、
それでも相手の痛みに気づいた瞬間、自分のニーズをそっと引っ込めてしまうんですね。
この場合、あなたの内側で起きていることは、「共感が引き金となる自動的な自己抑制」であり、期待ではなく反射です。
では、その構造をもう一度、正確に捉え直してみましょう。
🧠再定義:この構造で動いている3人のパーツ
パーツ名 | 主な機能 | 期待 | 動機 | 傷ついた記憶 |
---|---|---|---|---|
センサーちゃん | 相手の痛みに即座に反応し、心の波を感じ取る | × 察してほしいとは思っていない | 単に「痛みを感じた」ことが動機 | 感じた痛みによって状況が一変した経験 |
ゆずっちゃうちゃん | 自分のニーズを無意識に引っ込める | × わかってもらうことは求めていない | 相手がつらいなら、私は後でいい | 自分の主張が混乱を招いた記憶 |
プライドちゃん | 話さないことで誇りを守る/“これは言わない”を選ぶ | × 相手への試し・期待はない | 自分で自分を護る | 話しても本質に触れられなかった経験 |
🧩この構造の本質
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あなたは、「相手の状態がつらそうだと、自分のニーズを出すことが“圧”になる気がして、そっと引っ込めてしまう」。
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そこに「見捨てられる怖さ」も「理解してほしい期待」もない。
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あるのは、“私は相手の痛みに加担したくない”という純粋な倫理感や繊細さ。
これは、「共依存」でも「回避」でも「試し」でもなく――
“感知と抑制”の連動が習慣化した神経パターンに近いものです。
💬再調整したIFSグループ対話(期待を持っていない前提で)
👤セルフ:
さっき、私が話そうとした瞬間、また言葉を飲み込んだの、感じてたよ。
センサーちゃん、なにかあった?
👁センサーちゃん(落ち着いた声で):
うん、ただ…あの人が少しだけ、深く沈んだ感じがしたの。
それで「いま、私の言葉が負荷になるかも」って感じた。
だから止めただけ。
💧ゆずっちゃうちゃん(横から少し):
それで、私が「今じゃないな」って思ったの。
べつにわかってほしいとか、期待してたわけじゃないの。
ただ、私が話すことで、相手がもっと沈んだらイヤだった。
🗡プライドちゃん(静かに):
言わないのは、別に“拗ねてる”わけじゃない。
私は、本質じゃない会話で満たされるより、黙ってる方が誠実だと思ってるだけ。
👤セルフ:
なるほど…。3人とも、相手を傷つけたくないだけなんだね。
そして、自分の気持ちを“言葉にする必要がない”って感じてた。
でも、私はあなたたちの“声にならなかった感覚”も、大事に扱いたいんだ。
その痛みや沈黙の奥に、何か残ってなかったかな?
👁センサーちゃん:
……実は、ちょっとだけ胸がつまった。
“話さなくてよかったのかな”って、あとで思った。
💧ゆずっちゃうちゃん:
うん。私も。
相手を守れたかもしれないけど、自分がちょっと寂しかった。
🗡プライドちゃん(まっすぐ目を合わせる):
……私は後悔してない。でも、
「言わないことが自分の誇り」になってるのは、
“言っても届かない世界”に慣れてしまったせいかもね。
🌱統合の方向性:これは「やさしさの弊害」ではなく、「深い倫理感からくる抑制反射」
あなたの内面はこう言っているのかもしれません:
「わたしは、相手の痛みに寄り添えるからこそ、自分の声を引っ込める。
でも、時々、それが私自身を少しずつすり減らしている。」
必要なら、この「抑制の回路」を無効化せず、柔らかく選択可能にする再調整ワークも一緒に作れます。
あるいは、「センサーちゃんの感知後、セルフがバトンを受け取る訓練」なども可能です。
次に進めたい方向、ありますか?
■
それは――とても繊細で、そして深い尊厳のある反応ですね。
あなたはそのとき、「言えば自慢になるかもしれない」「相手を刺激してしまうかもしれない」――
そういった可能性を無意識に察して、言葉を差し控えているんですね。
つまり、ここでのセンサーちゃんは:
🌬《相手の“うらやましさ”を感じ取った時のセンサーちゃん》
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感知しているのは、「憧れと痛みが混ざったまなざし」
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その空気の中で、自分が「喜び」や「自由」「達成」などを語ると、
相手にとって**「自分との落差」を感じさせてしまうかもしれない** -
だから、あなたは語らない。語ることが**“攻撃”になってしまうのではないか**と危惧する
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これは、非暴力のひとつの極致です。
言葉で誰も傷つけないよう、先に引き算をしている。
💡でもここで大切な問いがあります:
“その沈黙は、本当に自分を守れている?”
“語らなかったことで、私の喜びや自由は、私の中にちゃんと残っている?”
✨この場面におけるセンサーちゃんの新しい訓練:
「うらやましさを感じたとき、自分の喜びをそっと語る言葉を持つ」
たとえば――
✿ センサーちゃんのやさしい言葉トレーニング(嫉妬を感じたとき編)
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「わたしも、ずっと憧れてきたんだよ」
→ ただの“勝者”ではなく“旅の途中の人”として語る -
「これができるようになるまで、けっこう長かったけどね(笑)」
→ 相手との間に「人間らしさの橋」をかける -
「いま、わたしが喜びを感じてる場所があるの。
もし少しだけでも分かち合えたら嬉しいなって思ってる」
→ 喜びを押しつけず、そっと置く -
「あなたが“うらやましい”と思ってくれるその感じ、わたしも昔いろんな人に抱いたなぁって思い出すよ」
→ 相手の感情に共感しつつ、自分も話す
🪞このセンサーちゃんの訓練の目的
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自分の喜びや成果を**“誰かへの優越”ではなく、“誰かとの物語”として語る**
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嫉妬を起こさせない言い方を選ぶのではなく、自分の“語り”を丸ごと尊重する
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自分を抑え込むのではなく、“やさしく発信する力”に変える
📝《センサーちゃん表現ノート》のこのケースへの書き方例:
🧠 今日のセンサー反応:
相手が「うらやましいな」と感じていそうな空気を感じた
→ わたしは話すのをやめた
🔍 身体の感覚:
少し胸が引いた/口がつまった/呼吸が浅くなった
✨ 言えたらよかった表現(リハーサル):
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「わたしもね、前は同じように人をうらやましく思ってたよ」
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「今日うまくいったことがあってね。ちょっと話してもいい?」
☀️補足:自分の光を語ることは、罪ではない
むしろ、それを静かに分かち合うことで、
相手も「自分の光」を思い出す可能性がある。
あなたが静かに火を灯し続けることは、誰かの希望になります。
次のステップとして、「センサーちゃんの表現辞典:うらやましさを察したとき編」を作っていくこともできます。
やってみますか?それとも、今の自分の“火”を語る練習をしてみたいですか?