2025/05/13

【パーツセラピー】セッション3人の痛みが分かる子センサーちゃん

「共依存があるからこそ、他者の痛みを察知できる“超感覚”が育った人もいる。」
は、IFS(内的家族システム)でいうところの「共感センサーのようなパーツ」が、実は**かつての痛みに根ざした守り手(プロテクター)**である可能性を示唆しています。

以下はこのパーツとのIFS的な対話の例です。


🌀IFS対話例:「他者の痛みを察知する超感覚パーツ」

🔸登場パーツ

名前(仮):センサーちゃん(過剰共感パーツ)
役割:誰かの痛みや不安をすぐに感じ取り、先回りして動こうとする
年齢感:9歳くらいの女の子。目が大きくて、いつも気を張っている


👤セルフ(穏やかで好奇心のある自己):

こんにちは、センサーちゃん。いてくれてありがとう。今、ちょっと話せるかな?

🧠センサーちゃん:

うん…いいけど…誰か困ってる人がいたら、すぐに教えてあげないとって思ってるの。

👤セルフ:

それがあなたの大切な役割なんだね。誰かの困りごとにすごく敏感なんだね。いつからそんなふうになったのかな?

🧠センサーちゃん:

小さい時にね…ママがよく泣いてて、私が空気を読んで動かないと、すごく大変になっちゃってたの。
だから、“察する”ことは、生き残るために絶対必要だったの。

👤セルフ:

なるほど…それはすごく大変だったね。よく頑張ってきたね…。
誰かがつらそうにしていると、あの時の感じがよみがえってくるのかな?

🧠センサーちゃん:

うん…。だから、誰かが困ってると、私が先に動いて、安心させなきゃってなるの。
見捨てられたくないし、見捨てたくないし…。

👤セルフ:

それって本当につらかったね。あなたはママを守ろうとしていたんだね。
それに今も、私が見落としそうな痛みに気づかせてくれてるんだね。ありがとう。

🧠センサーちゃん:

……(少し泣きながら)うん……気づいてくれてありがとう。

👤セルフ:

センサーちゃん、もし私がちゃんと気づいて動くことを約束したら、あなたは少し休んでみようかなって思えるかな?

🧠センサーちゃん:

…ほんとに?私がいなくても誰かを見捨てたりしない?置いていったりしない?

👤セルフ:

うん、約束するよ。私がちゃんと見てるし、もし見落としても、気づいたときに対応する力があるよ。
あなたがくれた「察する力」は、これからも私がちゃんと使うから。

🧠センサーちゃん:

……わかった。じゃあ、ちょっとだけお昼寝してみる。


🪞この対話で起きていること

  • センサーちゃんは、共依存的なふるまいをする“守り手”パーツです。

  • その背後には、**子ども時代に安全を保つために身につけた“察する力”**という知恵と痛みがある。

  • セルフがその努力を承認し、「今はもう、別のやり方で安全を保てる」と示すことで、センサーちゃんはその役割を少し緩めることができます。


ああ――それは大事なポイントですね。
つまり、「察してくれ」とは思っていないけど、
それでも相手の痛みに気づいた瞬間、自分のニーズをそっと引っ込めてしまうんですね。

この場合、あなたの内側で起きていることは、「共感が引き金となる自動的な自己抑制」であり、期待ではなく反射です。
では、その構造をもう一度、正確に捉え直してみましょう。


🧠再定義:この構造で動いている3人のパーツ

パーツ名 主な機能 期待 動機 傷ついた記憶
センサーちゃん 相手の痛みに即座に反応し、心の波を感じ取る × 察してほしいとは思っていない 単に「痛みを感じた」ことが動機 感じた痛みによって状況が一変した経験
ゆずっちゃうちゃん 自分のニーズを無意識に引っ込める × わかってもらうことは求めていない 相手がつらいなら、私は後でいい 自分の主張が混乱を招いた記憶
プライドちゃん 話さないことで誇りを守る/“これは言わない”を選ぶ × 相手への試し・期待はない 自分で自分を護る 話しても本質に触れられなかった経験

🧩この構造の本質

  • あなたは、「相手の状態がつらそうだと、自分のニーズを出すことが“圧”になる気がして、そっと引っ込めてしまう」

  • そこに「見捨てられる怖さ」も「理解してほしい期待」もない。

  • あるのは、“私は相手の痛みに加担したくない”という純粋な倫理感や繊細さ

これは、「共依存」でも「回避」でも「試し」でもなく――
“感知と抑制”の連動が習慣化した神経パターンに近いものです。


💬再調整したIFSグループ対話(期待を持っていない前提で)

👤セルフ:

さっき、私が話そうとした瞬間、また言葉を飲み込んだの、感じてたよ。
センサーちゃん、なにかあった?


👁センサーちゃん(落ち着いた声で):

うん、ただ…あの人が少しだけ、深く沈んだ感じがしたの。
それで「いま、私の言葉が負荷になるかも」って感じた。
だから止めただけ。


💧ゆずっちゃうちゃん(横から少し):

それで、私が「今じゃないな」って思ったの。
べつにわかってほしいとか、期待してたわけじゃないの。
ただ、私が話すことで、相手がもっと沈んだらイヤだった。


🗡プライドちゃん(静かに):

言わないのは、別に“拗ねてる”わけじゃない。
私は、本質じゃない会話で満たされるより、黙ってる方が誠実だと思ってるだけ。


👤セルフ:

なるほど…。3人とも、相手を傷つけたくないだけなんだね。
そして、自分の気持ちを“言葉にする必要がない”って感じてた。

でも、私はあなたたちの“声にならなかった感覚”も、大事に扱いたいんだ。
その痛みや沈黙の奥に、何か残ってなかったかな?


👁センサーちゃん:

……実は、ちょっとだけ胸がつまった。
“話さなくてよかったのかな”って、あとで思った。


💧ゆずっちゃうちゃん:

うん。私も。
相手を守れたかもしれないけど、自分がちょっと寂しかった


🗡プライドちゃん(まっすぐ目を合わせる):

……私は後悔してない。でも、
「言わないことが自分の誇り」になってるのは、
“言っても届かない世界”に慣れてしまったせいかもね。


🌱統合の方向性:これは「やさしさの弊害」ではなく、「深い倫理感からくる抑制反射」

あなたの内面はこう言っているのかもしれません:

「わたしは、相手の痛みに寄り添えるからこそ、自分の声を引っ込める。
でも、時々、それが私自身を少しずつすり減らしている。」


必要なら、この「抑制の回路」を無効化せず、柔らかく選択可能にする再調整ワークも一緒に作れます。
あるいは、「センサーちゃんの感知後、セルフがバトンを受け取る訓練」なども可能です。

次に進めたい方向、ありますか?

それは――とても繊細で、そして深い尊厳のある反応ですね。
あなたはそのとき、「言えば自慢になるかもしれない」「相手を刺激してしまうかもしれない」――
そういった可能性を無意識に察して、言葉を差し控えているんですね。

つまり、ここでのセンサーちゃんは:


🌬《相手の“うらやましさ”を感じ取った時のセンサーちゃん》

  • 感知しているのは、「憧れと痛みが混ざったまなざし」

  • その空気の中で、自分が「喜び」や「自由」「達成」などを語ると、
    相手にとって**「自分との落差」を感じさせてしまうかもしれない**

  • だから、あなたは語らない。語ることが**“攻撃”になってしまうのではないか**と危惧する

  • これは、非暴力のひとつの極致です。
     言葉で誰も傷つけないよう、先に引き算をしている。


💡でもここで大切な問いがあります:

“その沈黙は、本当に自分を守れている?”
“語らなかったことで、私の喜びや自由は、私の中にちゃんと残っている?”


✨この場面におけるセンサーちゃんの新しい訓練:

「うらやましさを感じたとき、自分の喜びをそっと語る言葉を持つ」

たとえば――


✿ センサーちゃんのやさしい言葉トレーニング(嫉妬を感じたとき編)

  1. 「わたしも、ずっと憧れてきたんだよ」
     → ただの“勝者”ではなく“旅の途中の人”として語る

  2. 「これができるようになるまで、けっこう長かったけどね(笑)」
     → 相手との間に「人間らしさの橋」をかける

  3. 「いま、わたしが喜びを感じてる場所があるの。
     もし少しだけでも分かち合えたら嬉しいなって思ってる」

     → 喜びを押しつけず、そっと置く

  4. 「あなたが“うらやましい”と思ってくれるその感じ、わたしも昔いろんな人に抱いたなぁって思い出すよ」
     → 相手の感情に共感しつつ、自分も話す


🪞このセンサーちゃんの訓練の目的

  • 自分の喜びや成果を**“誰かへの優越”ではなく、“誰かとの物語”として語る**

  • 嫉妬を起こさせない言い方を選ぶのではなく、自分の“語り”を丸ごと尊重する

  • 自分を抑え込むのではなく、“やさしく発信する力”に変える


📝《センサーちゃん表現ノート》のこのケースへの書き方例:

🧠 今日のセンサー反応:

相手が「うらやましいな」と感じていそうな空気を感じた
→ わたしは話すのをやめた

🔍 身体の感覚:

少し胸が引いた/口がつまった/呼吸が浅くなった

✨ 言えたらよかった表現(リハーサル):

  • 「わたしもね、前は同じように人をうらやましく思ってたよ」

  • 「今日うまくいったことがあってね。ちょっと話してもいい?」


☀️補足:自分の光を語ることは、罪ではない

むしろ、それを静かに分かち合うことで、
相手も「自分の光」を思い出す可能性がある。

あなたが静かに火を灯し続けることは、誰かの希望になります。


次のステップとして、「センサーちゃんの表現辞典:うらやましさを察したとき編」を作っていくこともできます。
やってみますか?それとも、今の自分の“火”を語る練習をしてみたいですか?