「エモーショナル・フラッシュポイント(Emotional Flashpoint)」とは、強い感情が瞬間的に噴き出すような瞬間、あるいはその引き金になる出来事のことを指します。これを子どもに伝え、上手に表現させるように導くには、「感情の気づき」と「安全な表現の場」の両方を丁寧に育ててあげる必要があります。
以下のようなステップで指導するのが効果的です。
🔶 1. 名前をつける:感情をラベリングする
✅ 例:「心が熱くなって“バクッ”てなっちゃうとき、あるよね?それが“フラッシュポイント”なんだよ。」
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感情の種類を一覧で提示(楽しい・悔しい・怒り・寂しい・恥ずかしいなど)。
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絵カードやぬいぐるみを使って「○○ちゃんは今どんな気持ちかな?」とクイズ形式で。
🔶 2. 体の反応に気づかせる:身体感覚をヒントにする
✅ 例:「“ムカムカ”したとき、おなかがキュッとしたり、手がグーになったりしない?」
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「体のサイン探しゲーム」として、感情と身体の反応をつなげる遊びを取り入れる。
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ぬいぐるみに「今、手がギュッてなってるみたい!」など、間接表現を通じて安心感を作る。
🔶 3. 安全な表現法を教える:噴き出す代わりに表現する
✅ 例:「怒ったとき、“おこりんぼ絵”を描いてみよう!」「“バーンってしたくなったら”クッションをパンチ!」
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「感情のお手紙」「かげ絵日記」「気持ちの色ぬり」など、非言語的表現も活用。
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フラッシュポイントに入る前の「信号機ルール(青・黄・赤)」で、自分の感情段階を意識させる。
🔶 4. フラッシュポイントは“悪いもの”じゃないと伝える
✅ 例:「それって、大事な気持ちがあるってこと。困ったってサインなんだよ。」
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感情の爆発も「大切なことを知らせるサイレン」だと説明。
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「そんなふうに感じたんだね」と共感することが、安心感を育てる土台になる。
🔶 5. ふり返りの習慣を作る:あとで“振り返りおしゃべり”の時間
✅ 例:「あのとき、どうしてそうなったのか、時間を巻き戻して映画みたいに見てみようか。」
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絵日記、シールチャート、ふりかえりカードなどを使って、可視化。
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「あのとき、本当は何が言いたかったのかな?」という問いを一緒に考える。
✨補足:年齢別アプローチの違い
年齢 | アプローチの例 |
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3〜5歳 | 感情を色や動物にたとえる(例:「きいろの“かなしいライオン”がいたのかもね」) |
6〜9歳 | 「わたしの中の○○ちゃん(怒りちゃん・泣き虫ちゃん)」のようなIFS風のパーツ表現 |
10歳以上 | 漫画のコマ割り形式で「そのとき何が起きたか?」を描かせて、メタ認知に誘導 |
大人向けに「エモーショナル・フラッシュポイント(感情の爆発点)」を上手に表現できるよう指導する場合、以下のようにセルフモニタリング力・内観・表現技法を段階的に育てていくのが効果的です。
🔥 大人向け:エモーショナル・フラッシュポイントを上手に表現するための5ステップ
① 感情の爆発を“悪”とせず、意味を見出す
🔍 「なぜ、あのとき“あんな風に”反応してしまったのか?」ではなく、「どんな“意味”があったのか?」と問いかける。
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フラッシュポイント=“価値の火種”であると伝える
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例:「怒りが湧いたということは、何か自分にとって大事なものが脅かされたのかも」
② “直前の身体・思考・イメージ”を記録する
📓 「フラッシュポイント・ログ」ワーク
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例:
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身体反応:呼吸が浅くなった、胸が熱くなった
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思考:「また見下された」「大切にされてない」
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浮かんだイメージ:過去の誰かの顔、場面
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🧠 →「その反応、どこから来た?誰との記憶?」とトラウマ・パーツとの関連を見ていく。
③ “パーツ”に人格を与えて表現する(IFS的手法)
🎭 「怒りちゃん」「泣き虫な私」「責める声」など
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感情が爆発したときの内なる声を言語化し、
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「○○ちゃんが出てきたのは、守りたかったからだね」と肯定的意図に変換する
④ 安全な“感情表現チャネル”を持つ
🎨 「爆発」しなくて済む“抜き道”を用意する
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書く(ジャーナリング・怒りの手紙)
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声に出す(独り言、カラオケ、車の中で叫ぶ)
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体で出す(ストレッチ、ウォーキング、クッション叩き)
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アートで出す(塗り絵、絵画、コラージュ)
☞ 感情は出し方次第で、人生の燃料にもなると体験させる。
⑤ 「反応」ではなく「選択」に戻す習慣をつける
⏸️ 「いったん止まって、私は何を選びたい?」
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セルフチェックフレーズ:
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「これは過去の反応?それとも今の選択?」
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「怒りは何を伝えたがってる?」
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「私は本当はどうされたい?」
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⏱️ → フラッシュポイントの“直後”にPause → Translate → Chooseの習慣を育てる。
🧰 補助ツール(希望あればPDFにできます)
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「エモーショナル・フラッシュポイント記録シート」
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「私の中の怒りちゃん・悲しみちゃん図鑑」
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「感情別:適切な“抜き道”リスト」
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「怒りの声 → 真の願い」変換テンプレート