2025/05/03

【ツール】エモーショナルフラッシュポイント対策

 「エモーショナル・フラッシュポイント(Emotional Flashpoint)」とは、強い感情が瞬間的に噴き出すような瞬間、あるいはその引き金になる出来事のことを指します。これを子どもに伝え、上手に表現させるように導くには、「感情の気づき」と「安全な表現の場」の両方を丁寧に育ててあげる必要があります。

以下のようなステップで指導するのが効果的です。


🔶 1. 名前をつける:感情をラベリングする

✅ 例:「心が熱くなって“バクッ”てなっちゃうとき、あるよね?それが“フラッシュポイント”なんだよ。」

  • 感情の種類を一覧で提示(楽しい・悔しい・怒り・寂しい・恥ずかしいなど)。

  • 絵カードやぬいぐるみを使って「○○ちゃんは今どんな気持ちかな?」とクイズ形式で。


🔶 2. 体の反応に気づかせる:身体感覚をヒントにする

✅ 例:「“ムカムカ”したとき、おなかがキュッとしたり、手がグーになったりしない?」

  • 「体のサイン探しゲーム」として、感情と身体の反応をつなげる遊びを取り入れる。

  • ぬいぐるみに「今、手がギュッてなってるみたい!」など、間接表現を通じて安心感を作る。


🔶 3. 安全な表現法を教える:噴き出す代わりに表現する

✅ 例:「怒ったとき、“おこりんぼ絵”を描いてみよう!」「“バーンってしたくなったら”クッションをパンチ!」

  • 「感情のお手紙」「かげ絵日記」「気持ちの色ぬり」など、非言語的表現も活用。

  • フラッシュポイントに入る前の「信号機ルール(青・黄・赤)」で、自分の感情段階を意識させる。


🔶 4. フラッシュポイントは“悪いもの”じゃないと伝える

✅ 例:「それって、大事な気持ちがあるってこと。困ったってサインなんだよ。」

  • 感情の爆発も「大切なことを知らせるサイレン」だと説明。

  • 「そんなふうに感じたんだね」と共感することが、安心感を育てる土台になる。


🔶 5. ふり返りの習慣を作る:あとで“振り返りおしゃべり”の時間

✅ 例:「あのとき、どうしてそうなったのか、時間を巻き戻して映画みたいに見てみようか。」

  • 絵日記、シールチャート、ふりかえりカードなどを使って、可視化。

  • 「あのとき、本当は何が言いたかったのかな?」という問いを一緒に考える。


✨補足:年齢別アプローチの違い

年齢 アプローチの例
3〜5歳 感情を色や動物にたとえる(例:「きいろの“かなしいライオン”がいたのかもね」)
6〜9歳 「わたしの中の○○ちゃん(怒りちゃん・泣き虫ちゃん)」のようなIFS風のパーツ表現
10歳以上 漫画のコマ割り形式で「そのとき何が起きたか?」を描かせて、メタ認知に誘導

大人向けに「エモーショナル・フラッシュポイント(感情の爆発点)」を上手に表現できるよう指導する場合、以下のようにセルフモニタリング力・内観・表現技法を段階的に育てていくのが効果的です。


🔥 大人向け:エモーショナル・フラッシュポイントを上手に表現するための5ステップ

感情の爆発を“悪”とせず、意味を見出す

🔍 「なぜ、あのとき“あんな風に”反応してしまったのか?」ではなく、「どんな“意味”があったのか?」と問いかける。

  • フラッシュポイント=“価値の火種”であると伝える

  • 例:「怒りが湧いたということは、何か自分にとって大事なものが脅かされたのかも」


“直前の身体・思考・イメージ”を記録する

📓 「フラッシュポイント・ログ」ワーク

  • 例:

    • 身体反応:呼吸が浅くなった、胸が熱くなった

    • 思考:「また見下された」「大切にされてない」

    • 浮かんだイメージ:過去の誰かの顔、場面

🧠 →「その反応、どこから来た?誰との記憶?」とトラウマ・パーツとの関連を見ていく。


“パーツ”に人格を与えて表現する(IFS的手法)

🎭 「怒りちゃん」「泣き虫な私」「責める声」など

  • 感情が爆発したときの内なる声を言語化し、

  • 「○○ちゃんが出てきたのは、守りたかったからだね」と肯定的意図に変換する


安全な“感情表現チャネル”を持つ

🎨 「爆発」しなくて済む“抜き道”を用意する

  • 書く(ジャーナリング・怒りの手紙)

  • 声に出す(独り言、カラオケ、車の中で叫ぶ)

  • 体で出す(ストレッチ、ウォーキング、クッション叩き)

  • アートで出す(塗り絵、絵画、コラージュ)

感情は出し方次第で、人生の燃料にもなると体験させる。


「反応」ではなく「選択」に戻す習慣をつける

⏸️ 「いったん止まって、私は何を選びたい?」

  • セルフチェックフレーズ:

    • 「これは過去の反応?それとも今の選択?」

    • 「怒りは何を伝えたがってる?」

    • 「私は本当はどうされたい?」

⏱️ → フラッシュポイントの“直後”にPause → Translate → Chooseの習慣を育てる。


🧰 補助ツール(希望あればPDFにできます)

  • 「エモーショナル・フラッシュポイント記録シート」

  • 「私の中の怒りちゃん・悲しみちゃん図鑑」

  • 「感情別:適切な“抜き道”リスト」

  • 「怒りの声 → 真の願い」変換テンプレート