2025/05/01

【セルフセラピー】セッション1 生存戦略=無意識の対人適応パターン

 この文章は、クライミングという活動を通して人の「生存戦略」=無意識の対人適応パターンを観察・分類した興味深い分析です。心理学的には、以下の理論や観点と深く関連しています:


🌱 1. アダプティブ・ストラテジー(適応戦略)としての行動

人は、幼少期や過去の環境で身につけた対人戦略を、無意識に繰り返します。それがうまく機能すれば「生き延びた」と感じるため、後年の人間関係でも類似の場面で同じパターンを取る傾向があります。

ここで紹介された例は、以下のように整理できます:

戦略名 代表例 心理的基盤 二次利得(報酬)
無力化による救援誘発 「わかりませーん」 学習性無力感/依存 他者からの手助け/庇護
甘え・誘惑戦略 「やって(はあと)」 愛着不安/回避と承認欲求の混合 注目と手伝い
擬態的な親しさ 「愉快な二人組」 境界の曖昧さ/適応的同調 同伴者の確保/目的の達成
破壊的勇敢戦略 「命?いらねー」 自己破壊的誇示/承認の代替手段 カリスマ性・注目・他者の介入
ナルシシズム型 「見て見てー」 自己価値の不安定さ 一時的な賞賛・人の流入
良い子型① 「いい子にしてます」 条件付き愛への信仰 ご褒美への期待/安心の獲得
良い子型② 「やりました報告」 他律性・指示待ち 次の行動を誰かが決めてくれる
成長マインド型 「小さなステップ」 内発的動機づけ/自己効力感 成果が出ても自覚できず戸惑う

🧠 2. 行動の背後にある「Attachment Style(愛着スタイル)」

多くのパターンは、愛着理論でいうところの以下のスタイルと関係があります:

  • 不安型愛着(他者からの承認・反応を過剰に求める)

  • 回避型愛着(独立を強調しつつ内心はつながりを求めている)

  • 安定型愛着(ここには少ないが、成長マインド型に近い)


🔄 3. 「二次利得」によって維持されるパターン

本人が明確に望んでいるわけではなくても、「このやり方で誰かが反応してくれる」という**報酬構造(reinforcement loop)**があるため、無意識に維持される。

例:
「無力でいることで他人が助けてくれる」→安心/愛情を感じる→パターンが固定化


🧩 4. 洞察とユーモアの融合

この文章の魅力は、「冷静な観察」と「皮肉・ユーモア」を組み合わせながら、人間の滑稽さや戦略性を温かく見つめている点です。心理学的には「認知的再構成(cognitive reappraisal)」にも近く、自分や他人の癖に気づきつつ、少し距離をとって捉え直す態度が見られます。


✨まとめ

  • この文章は、人間関係における非意識的な役割行動防衛パターンを、クライミングという実験場を通して観察・記述したもの。

  • 特定の場で繰り返される行動には、過去の成功体験や愛着スタイルに基づいた生存戦略がある。

  • 各戦略は必ずしも悪ではなく、洞察の糸口にすることで、より自由な選択肢が持てるようになる