2025/05/11

【RASを活用する】味方センサーを磨く

 

「助けに反応する脳へ」

――見過ごしていた優しさに気づく訓練

はじめに

トラウマや長期的なストレス、アダルトチルドレン的な家庭環境で育った人の多くは、周囲の危険や拒絶、無関心に敏感なまま成長します。

それは「弱さ」ではなく、生き延びるための適応でした。
しかし、いま――あなたが癒されていきたいと願うなら、脳のセンサー(RAS)を“助け”に向け直すことが、回復の第一歩になります。

このワークは、あなたの中にすでにある「優しさの記憶」を取り戻す訓練です。


RASとは?

RAS(網様体賦活系)は、脳の“注目センサー”です。膨大な情報の中から、「今、重要なものはこれだ」と選び取って意識に上げるフィルターのような働きをしています。

過去に拒絶や痛みを多く経験した人のRASは、「また否定されるのでは?」「危険はないか?」といった防御方向に偏りがちです。

けれど、あなたが本当に求めているのは、助け・つながり・安心のはず。だからこそ、意識的に「助けが来たほう」へRASを向け直す練習が必要なのです。


ワーク:助けが来たことに気づく

ステップ1|「助けが来た瞬間」を探す

問いを使って、今日または最近の“小さな助け”を見つけてみましょう。

  • 誰かが目を合わせて笑ってくれた

  • 知らない人がドアを押さえてくれた

  • ネットで偶然見た言葉に救われた

  • 自然の風景にふっと安心した

📝 書き出し欄:

今日、私に向けられたやさしさ・助けは……?

ステップ2|身体感覚を思い出す

  • その助けの瞬間、呼吸は?身体の緊張は?心の内側は?

  • できれば静かに目を閉じて、再体験してみてください

📝 書き出し欄:

その時、私の体と心にはどんな変化があった?

ステップ3|言葉を使ってRASを再配線する

以下のような“再配線のフレーズ”を声に出して読んでみましょう:

  • 「私は、助けが来たことに気づいていい」

  • 「私は、やさしさを受け取る準備ができている」

  • 「私の脳は、もう“味方”を探していい」


おわりに

癒しとは、「過去をすべて理解すること」ではなく、
“今、助けがある”と感じることから始まります。

このワークを毎日少しずつ続けることで、あなたのRASは少しずつ「脅威」ではなく「つながり」を探し始めます。

そしてそのとき、あなたはもう一人じゃない――と、深く静かに感じられるようになっていくでしょう。

やさしさは、いつもどこかに、すでに届いているのです。

では、以下にご提案するのが
🧠 RAS再設定ワーク:共感 → 気づき → 安全再発見のテンプレートです。

これは、IFSやトラウマインフォームドな視点を取り入れながら、
網様体賦活系(RAS)を**“危険検出”から“助け検出”へと再設定する**ための内的対話テンプレートです。


🔄 RAS再設定ワーク

「共感 → 気づき → 安全再発見」テンプレート

🎧 STEP 1:共感される(=傷ついた自分へのチューニング)

まず、自分の中の「過去のつらかった場面」に意識を向けます。
そのときの小さな自分に、こう語りかけてください。

  • 「あなたは、一人でがんばってたね」

  • 「誰も気づかない中で、よくそこにいてくれた」

  • 「それは本当に怖かったし、さびしかったよね」

🪞※ポイント:
ここでは事実の評価をせず、ただ“感情”を受けとめること。
涙が出るなら、それは再接続が起きている証です。


👁‍🗨 STEP 2:気づく(=助けに向けるRAS)

その出来事の「すべてが敵だったわけではない」かを探ります。
小さな援助・好意・見過ごしていた支えに目を向ける練習です。

問いの例:

  • 「あの時、ほんの少しでも“安心のかけら”はなかっただろうか?」

  • 「私が完全に孤独だと思っていたけれど、実は味方してくれた人はいなかったか?」

  • 「あの場面に登場した“私を傷つけなかった人”は、誰だっただろう?」

🧭※ここで登場するのが、先ほどの「助けに気づくパーツ」です。
そのパーツに、「ありがとう、見つけてくれて」と声をかけましょう。


🛟 STEP 3:安全の再発見(=回復可能性を身体で受け取る)

「だから大丈夫だった」ではなく、「あの時も、全部が敵ではなかった」という視点を導きます。
それが、今の自分の身体に与える影響を丁寧に感じます。

声がけの例:

  • 「たしかに全部は壊れていなかった」

  • 「この感覚があるなら、私はもう少し先へ行ける」

  • 「次に助けが来たら、私は気づけるかもしれない」

🌿※ここでRASのフィルターが、
“敵探知”→“希望探知”へとゆっくりチューニングされます。


🧩 補足:このワークを定着させるには?

  • 日記に「今日あった助け」を毎日1つだけ書く(RAS訓練)

  • 「味方センサー」の名前を決め、日中の“ほっとした場面”で登場させる

  • セッション後に**呼吸法+触覚刺激(手を温める等)**を取り入れると身体定着しやすくなります


ご希望あれば、このテンプレートをZINE形式セルフケアノートの見開きデザインに落とし込むことも可能です。
どの形式で使いたいですか?