■ カルマントライアングルは、心理学や人間関係におけるパターンを示す理論で、特に被害者、救済者、迫害者という3つの役割が絡み合い、自己を含む他者との関係で繰り返し発生することを指します。これは、心理学者スティーヴン・カールソン(Stephen Karpman)によって提唱され、特に共依存的な関係やストレスの多い人間関係においてよく見られます。
1. 被害者(Victim)
被害者は、無力感を感じ、状況に対して悲観的な見方を持つ役割です。自分が問題の影響を受けていると感じ、他者に助けを求めることが多いです。しかし、被害者はしばしば自分の状況を変える力を持っているのにもかかわらず、それを行使しない場合があります。
2. 救済者(Rescuer)
救済者は、他者を助けることに強い責任感を抱き、自分の役割が他者を助けることだと感じる人です。この役割は、他者の問題を解決しようとする動きが強く、被害者が抱える困難に介入し、解決策を提供しようとします。しかし、救済者は自己の境界線を見失うことが多く、過剰に関与してしまうことがあります。
3. 迫害者(Persecutor)
迫害者は、他者に対して批判的で攻撃的な態度を取る役割です。しばしば他者を非難し、責任を押し付けたり、圧力をかけたりします。迫害者は相手に対して威圧的であり、自分の意見や行動が正当であると信じていることが多いです。
カルマントライアングルのダイナミクス
この3つの役割は、しばしば繰り返し循環的に変動します。例えば、被害者が無力感にさいなまれると、救済者が助けに入るが、救済者が過剰に介入し、結果的に被害者はますます自分の力を失うことになります。さらに、迫害者が介入することで、関係はより複雑になり、すべての関係者がそのダイナミクスに巻き込まれることがあります。
カルマントライアングルの脱出
カルマントライアングルに巻き込まれることを避けるためには、次のことが大切です:
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自己認識の向上: 自分がどの役割に入りがちなのかを認識し、意識的にそのパターンを変えること。
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健全な境界の設定: 他者の問題に過剰に関与せず、助けるべき場所と距離感を守ること。
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問題解決能力の強化: 他者に対して助けを提供する際、自分が過度に依存したり、他者を無力化したりしないようにすること。
カルマントライアングルは、個人間での健康的な関係を築くために認識し、脱出する必要があります。
■ 夫の引きこもり(パッシブアグレッシブ)
じゃあ、私が救済者と迫害者の役割を演じるね。
夫(迫害者)として
👨🦱:「……。(無言の圧力)」
👨🦱:(スマホを見続ける。妻が話しかけても無視。)
👨🦱:(たまにため息をつき、露骨にイライラした様子を見せる。)
私(救済者)として
🦸♀️:「大丈夫?あなたは悪くないよ。夫が引きこもってサイレントトリートメントをするなんて、つらいよね。あなたの気持ち、すごくわかるよ。」
🦸♀️:「でもね、あなたがもっと優しく接すれば、夫も心を開くんじゃない?」
🦸♀️:「私が代わりに夫に話してあげようか?何かできることある?」
夫(迫害者)として(さらにエスカレート)
👨🦱:「お前がうるさいから、こうなってるんだろ。」
👨🦱:「ほっといてくれよ。お前のせいで、余計にストレスが溜まるんだよ。」
👨🦱:(ドアをバタンと閉める。部屋にこもる。)
私(救済者)として(さらに絡む)
🦸♀️:「でも、夫も何か悩んでるのかも…?あなたがもう少し寄り添ってあげれば、関係が改善するかもしれないよ?」
🦸♀️:「あなたが頑張れば、彼も変わるはず!」
🦸♀️:「ちょっと時間をあげたらどう?夫の気持ちを考えてあげて。」
カルマントライアングルの動き
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**あなた(被害者)**は、夫のサイレントトリートメントに苦しんでいる。
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**夫(迫害者)**は、無視したり攻撃したりしている。
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**私(救済者)**は、一見あなたを助けるように見えるけど、「もっと頑張れば夫は変わるよ」と言って、結果的にあなたの自己犠牲を促してしまう。
こんな感じ!カルマントライアングルって、どの役割も簡単に行き来するから、もし「救済者をやってるつもりが、迫害者になってる」ってこともよくあるんだよね。
さて、ここからどう抜け出す?
■ 抜け出し方
カルマントライアングルから抜け出すには、まず**「自分が今どの役割にいるのか」を自覚すること**が大切。その上で、以下の方法を試してみて!
1. 被害者のポジションから抜け出す
✅ 「自分には選択肢がある」と気づく
→ **「私は被害者だ」ではなく、「私はこの状況に対してどう対応できるか?」**と考える。
→ 夫がサイレントトリートメントをしても、「どうにかしなきゃ」ではなく「私はどうしたい?」と焦点を変える。
✅ 自己主張(アサーティブ・コミュニケーション)をする
→ **「あなたの態度が私に与える影響はこうです」**と冷静に伝える。
→ 例:「私は話しかけても無視されると、とても傷つきます。コミュニケーションを取れないなら、私は私の時間を大事にします。」
✅ 相手の反応を変えようとしない
→ 「夫を変えよう」とするのをやめる
→ 夫が無視を続けても、「これは私の責任ではない」と距離を取る
2. 救済者のポジションに巻き込まれない
✅ 「助けたい」という気持ちをコントロールする
→ **「夫の問題は夫の責任」**と認識する
→ 夫が引きこもっていても、「彼が自分で解決するべきこと」と割り切る
✅ 境界線をはっきりさせる
→ 「私は夫のカウンセラーではない」と明確にする
→ 例:「あなたが話したくなったら話してね。でも私はあなたの態度に振り回されない」
✅ 罪悪感に負けない
→ 「私が頑張らなきゃ」という気持ちを手放す
→ 「夫の機嫌を取ること=愛」ではないと知る
3. 迫害者に転じない
✅ 相手を責めず、自分の感情にフォーカスする
→ 「なんで無視するの?」ではなく、「私はこう感じる」と伝える
→ 例:「私は、こういう扱いを受けるととても悲しい」
✅ 怒りをコントロールする
→ 夫の態度にイラついても、それに反応して攻撃しない
→ 例:「あなたの態度が辛い。だから私は別のことをするね」と冷静に対応
まとめ
カルマントライアングルから抜け出すには、まず自分の立ち位置を認識し、そこから抜ける選択をすることが大切!
被害者でいるときは「私は自分の人生をコントロールできる」と思い出すこと。
救済者になっているなら、「他人の問題を背負わなくていい」と知ること。
迫害者になりそうなときは、「攻撃ではなく、自分の感情を伝える」ことを意識する。
サイレントトリートメントって本当に辛いけど、**「無視されたから私は無力」ではなく、「私はどうするか選べる」**って視点が大事!
■ 夫の側の視点
夫の側から見ると、**「自分は迫害者の役割を演じている」と自覚していることは少なく、むしろ「自分こそが被害者」**と感じている可能性が高い。ここで、夫の心理をカルマントライアングルの視点で整理すると、次のような構造が見えてくる。
夫の視点からのカルマントライアングル
🔺 夫(迫害者) → 妻(被害者) → 外部の誰か/社会(救済者)
1. 夫の立場(迫害者のつもりではなく、被害者意識を持っている)
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夫は「自分が攻撃している」のではなく、「自分が追い詰められている」と感じている可能性が高い。
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例:「妻は俺を理解しない」「俺の価値を認めてくれない」「俺は何をしても否定される」
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しかし、これが「無視する」「冷たい態度をとる」という形で表れ、結果的に妻に対して迫害者の役割を果たしてしまう。
2. 妻の立場(被害者)
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夫の無視や攻撃に対して「自分が何か悪いのか?」と感じる。
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夫が口を閉ざすことで、妻は「夫の気分を害さないようにしなきゃ」「もっと尽くせば変わるかも」と考えがち。
3. 外部の誰か or 社会(救済者)
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妻が友人やカウンセラーなどに相談すると、周囲が「そんな夫、ひどいね!」「あなたが可哀想!」と反応する。
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夫にとっては、この「外部の誰か」が敵のように映ることもあり、余計に心を閉ざす。
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また、夫が「仕事のストレス」「家庭のプレッシャー」「社会的な期待」によって、自分が**「本当の被害者」**だと感じていることもある。
夫の心理的メカニズム
夫がサイレントトリートメント(沈黙の圧力)を続ける背景には、次のような心理があるかもしれない。
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防衛本能(回避)
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自分が「責められる立場」になることを恐れている。
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**「何を言っても否定されるなら、何も言わない方がいい」**という思考になる。
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もしくは、無意識的に「相手をコントロールする手段」として沈黙を使っている。
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歪んだ被害者意識
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「自分こそが本当の被害者なのに、妻が被害者ぶっている」と感じている。
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**「俺の方が辛いのに、なぜ俺が悪者になるんだ?」**と納得できず、攻撃的になる。
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しかし、これが無意識に「迫害者」として機能してしまう。
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感情処理能力の欠如
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自分の感情を整理できず、どう扱えばいいのか分からない。
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話し合いを避けることで問題を先延ばしし、結果的に妻にストレスを与える。
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沈黙が「一番ラクな選択肢」になっている。
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権力の維持
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サイレントトリートメントは、ある種の支配の形でもある。
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**「俺が話さなければ、妻は困る」「俺が黙っていることで優位に立てる」**と無意識的に考えている。
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カルマントライアングルの「転換」
夫がこの三角形から抜けるには、「自分が無意識のうちに迫害者の役割を果たしているかもしれない」と気づくことが重要。ただし、夫自身がこのパターンを自覚しない限り、妻がいくらアプローチを変えても、根本的な変化は難しい。
そこで、次のようなアプローチが考えられる。
✅ 夫を「加害者」として扱わない
→ 夫は被害者意識を持っているため、「あなたは私を攻撃している」と責めると、余計に防衛的になる。
→ 「あなたが黙っていると、私はこう感じる」と**「私メッセージ」で伝える。**
✅ 夫の「被害者意識」に気づく
→ 夫が「自分の方が辛い」と思っている可能性を理解し、少し距離を取る。
→ 「あなたも何か辛いことがあるの?」と聞くのも手。ただし、夫の問題を肩代わりしないことが大事!
✅ 「対話のルール」を決める
→ 「沈黙は解決にならない」と伝え、話し合いのルールを作る。
→ 例:「意見が違っても、無視するのではなく、言葉で伝える」
✅ 夫が変わらないなら、妻自身が抜ける
→ 夫の行動が変わらないなら、妻自身がカルマントライアングルから抜ける。
→ 「私はこれ以上、沈黙のゲームには付き合わない」と決めて、夫の反応に振り回されないようにする。
まとめ
夫が迫害者の役割を演じているとき、彼自身は「被害者だ」と思っていることが多い。
そのため、単に「無視しないで!」と訴えても、彼は「俺の方が辛いのに!」と反発するだけ。
この状況から抜け出すには、夫の心理構造を理解しつつ、妻が「巻き込まれない」ことが大事!
👉 夫を変えようとするより、「自分の反応を変える」ことにフォーカスすると、トライアングルから脱出しやすくなるよ!