「もう一度、弟に会いたい」という思いが強い場合、以下のような心理現象が起きることがあります。これはグリーフ(悲嘆)やトラウマ反応とも深く関係しており、人によってさまざまな形で現れます。
1. 否認・回避
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現実の死を受け入れきれず、「まだどこかにいる気がする」「また会えるのでは」という幻想を手放せなくなる。
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霊的体験を信じたり、スピリチュアルな世界に没頭したりすることで、現実逃避的な傾向が強まることも。
2. 未完了の関係の「再演」
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弟との関係で「言えなかったこと」「やってあげられなかったこと」を、他の人間関係で無意識に繰り返そうとする(例:年下の男性を世話してしまうなど)。
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「弟を救えなかった自分」の罪悪感を償うかのように、他者への過剰な献身に走る。
3. サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)
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「なぜ私だけが生きているのか」「私が代わるべきだったのでは」という強い自責感が出る。
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喜びや成功に対して罪悪感を感じるようになる(=「弟がいないのに、自分だけ幸せになっていいのか?」)。
4. 幻想との対話
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心の中で弟と「会話」するような内的対話が続く。これは正常なグリーフ過程の一部でもあるが、過剰になると現実感が薄れ孤立感が強まる可能性も。
5. 時間の止まり(トラウマ凍結)
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弟が亡くなった年齢や時期に、心理的な成長が止まったような感覚をもつ(例:その年齢を超えることへの違和感)。
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未来に対して希望や展望を描きにくくなる。
6. 代理としての生き方(代償的アイデンティティ)
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弟の分まで生きようとする。「弟だったらこうしたかもしれない」という推測に影響されすぎ、自分自身の欲求や人生の選択が曖昧になる。
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これは、一種の「役割代入の延長」でもあります。
7. 夢やビジョンに現れる
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弟に会う夢をよく見る。夢の中でメッセージを受け取ったと感じることも。
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現実の人間関係においても「弟に似た人」に特別な感情を持つことがある。
このような心理現象が起こること自体は、悲しみを真摯に感じている証でもあります。ただ、どこかの時点で「弟を想いながらも、自分自身の人生を生きる」ために、その強い思いを「つながり」として昇華していく必要があります。
必要であれば、「弟の名を継ぐプロジェクト」や「弟が好きだったものを形にするアート」など、記憶と共に歩む方法をご提案することもできます。必要ですか?