2025/06/19

回復のプロセス

 ここでは、回復のプロセス(トラウマ・傷つき・自己再構成など)を大きく4段階に分けて、各フェーズに適した心理技法とそのねらい、留意点を一覧で整理します。


🪨【第1段階】安全確保・安定化(Stabilization)

🧠主な心理状態:

  • 感情の波が激しい/フラッシュバック/不眠・過覚醒/混乱

  • 「落ち着きたい」「ここにいていいのか確かめたい」

🛠️推奨技法:

技法 目的 留意点
マインドフルネス/呼吸法 自律神経の安定化・“今ここ”に戻る感覚を育てる 無理に静まらせようとせず、感覚の探索を優先する
グラウンディング 解離や不安からの回復、身体との再接続 五感・重力・触覚を重視。言葉より“感覚”を信頼
ソマティック・エクスペリエンシング トラウマ反応の放出・震えや感情の自然な完結 時間をかけて“リソース”に戻れる道を確保する
安全なイメージの構築 「安心の場」や「守ってくれる存在」を視覚化する 現実の人物よりも“象徴”の方が安全な場合もある

🌱【第2段階】感情の処理・関係修復(Emotional Processing)

🧠主な心理状態:

  • 封じていた感情が出てくる/怒りや悲しみが強い

  • 「なぜこんな風に感じるのか知りたい」「自分を責めてしまう」

🛠️推奨技法:

技法 目的 留意点
インナーチャイルド・ワーク 感情のルーツ(幼少期)にアクセスして癒す セラピストの“優しさ依存”にならない設計が必要
エンプティチェア 言えなかった感情・関係性の痛みを外在化する 感情のコントロールが難しい場合は段階的に実施
感情焦点化療法(EFT) 第一次感情に触れ、抑圧してきたものを受け入れる セラピスト側の共感力が重要。「整理」より「体験」重視
IFS(内的家族システム) パーツごとの感情・防衛・傷つきを対話で扱う セルフ(中心)とのつながりが前提となる

🌉【第3段階】再解釈・再構成(Meaning-making)

🧠主な心理状態:

  • 体験に意味を与えたい/人生の物語を組み直したい

  • 「もう過去には戻れない。これからを生きたい」

🛠️推奨技法:

技法 目的 留意点
ナラティブ・アプローチ 自分の語りを再構築し、「私は何者か」を見直す “新しい物語”の押しつけにならないよう注意
認知再構成(CBT) 非合理的な思考・自己否定を柔らかく再編する 感情が十分に受容されたあとに行う
ライフレビュー 過去の出来事を振り返り、資源化・統合する ポジティブな記憶にも焦点を当てると効果的
POP(Process-Oriented Psychology) 深層の意味や“シンクロニシティ”を探る 抽象性が高く、混乱しやすい人には不向きな場合も

🌸【第4段階】統合・自己実現(Integration / Growth)

🧠主な心理状態:

  • 自分らしく生きたい/選択と行動に責任を持ちたい

  • 「これからの人生を自分で選び取りたい」

🛠️推奨技法:

技法 目的 留意点
行動活性化(BA) 自分の価値観に沿った行動を選び直す 「やらされ感」が出ないよう自発性を重視
ビジョン・ボード/未来日記 理想の未来をイメージ・実現化していく ポジティブ幻想に逃げないために現実との接続も大事
コーチング的アプローチ 自己実現やゴール達成に向けた伴走支援 過去の傷つきが未完了な場合は注意が必要
スピリチュアル・ワーク(例:魂の声の統合) 自己超越・人生の使命感の回復 現実逃避ではなく「地に足のついた再誕生」が目的

🧭補足:段階は直線的でなく、行き来するもの

  • 安定→感情処理→再構成→統合、と順を追うのが一般的ですが、実際には「第1段階に戻る」「第3段階と第2段階を往復する」など循環型です。

  • クライエントの状態・信頼関係・人生局面によって変動します。


必要であれば、このリストを 「あなた自身のプロセス」や「特定の事例」に当てはめる形で整理も可能です。どう進めましょうか?