ここでは、回復のプロセス(トラウマ・傷つき・自己再構成など)を大きく4段階に分けて、各フェーズに適した心理技法とそのねらい、留意点を一覧で整理します。
🪨【第1段階】安全確保・安定化(Stabilization)
🧠主な心理状態:
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感情の波が激しい/フラッシュバック/不眠・過覚醒/混乱
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「落ち着きたい」「ここにいていいのか確かめたい」
🛠️推奨技法:
技法 | 目的 | 留意点 |
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マインドフルネス/呼吸法 | 自律神経の安定化・“今ここ”に戻る感覚を育てる | 無理に静まらせようとせず、感覚の探索を優先する |
グラウンディング | 解離や不安からの回復、身体との再接続 | 五感・重力・触覚を重視。言葉より“感覚”を信頼 |
ソマティック・エクスペリエンシング | トラウマ反応の放出・震えや感情の自然な完結 | 時間をかけて“リソース”に戻れる道を確保する |
安全なイメージの構築 | 「安心の場」や「守ってくれる存在」を視覚化する | 現実の人物よりも“象徴”の方が安全な場合もある |
🌱【第2段階】感情の処理・関係修復(Emotional Processing)
🧠主な心理状態:
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封じていた感情が出てくる/怒りや悲しみが強い
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「なぜこんな風に感じるのか知りたい」「自分を責めてしまう」
🛠️推奨技法:
技法 | 目的 | 留意点 |
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インナーチャイルド・ワーク | 感情のルーツ(幼少期)にアクセスして癒す | セラピストの“優しさ依存”にならない設計が必要 |
エンプティチェア | 言えなかった感情・関係性の痛みを外在化する | 感情のコントロールが難しい場合は段階的に実施 |
感情焦点化療法(EFT) | 第一次感情に触れ、抑圧してきたものを受け入れる | セラピスト側の共感力が重要。「整理」より「体験」重視 |
IFS(内的家族システム) | パーツごとの感情・防衛・傷つきを対話で扱う | セルフ(中心)とのつながりが前提となる |
🌉【第3段階】再解釈・再構成(Meaning-making)
🧠主な心理状態:
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体験に意味を与えたい/人生の物語を組み直したい
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「もう過去には戻れない。これからを生きたい」
🛠️推奨技法:
技法 | 目的 | 留意点 |
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ナラティブ・アプローチ | 自分の語りを再構築し、「私は何者か」を見直す | “新しい物語”の押しつけにならないよう注意 |
認知再構成(CBT) | 非合理的な思考・自己否定を柔らかく再編する | 感情が十分に受容されたあとに行う |
ライフレビュー | 過去の出来事を振り返り、資源化・統合する | ポジティブな記憶にも焦点を当てると効果的 |
POP(Process-Oriented Psychology) | 深層の意味や“シンクロニシティ”を探る | 抽象性が高く、混乱しやすい人には不向きな場合も |
🌸【第4段階】統合・自己実現(Integration / Growth)
🧠主な心理状態:
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自分らしく生きたい/選択と行動に責任を持ちたい
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「これからの人生を自分で選び取りたい」
🛠️推奨技法:
技法 | 目的 | 留意点 |
---|---|---|
行動活性化(BA) | 自分の価値観に沿った行動を選び直す | 「やらされ感」が出ないよう自発性を重視 |
ビジョン・ボード/未来日記 | 理想の未来をイメージ・実現化していく | ポジティブ幻想に逃げないために現実との接続も大事 |
コーチング的アプローチ | 自己実現やゴール達成に向けた伴走支援 | 過去の傷つきが未完了な場合は注意が必要 |
スピリチュアル・ワーク(例:魂の声の統合) | 自己超越・人生の使命感の回復 | 現実逃避ではなく「地に足のついた再誕生」が目的 |
🧭補足:段階は直線的でなく、行き来するもの
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安定→感情処理→再構成→統合、と順を追うのが一般的ですが、実際には「第1段階に戻る」「第3段階と第2段階を往復する」など循環型です。
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クライエントの状態・信頼関係・人生局面によって変動します。
必要であれば、このリストを 「あなた自身のプロセス」や「特定の事例」に当てはめる形で整理も可能です。どう進めましょうか?