反動形成(Reaction Formation) を防衛として持つ人の幼少期には、「本当の感情を否定し、正反対の態度を取らざるを得なかった経験」 があることが多いです。
1. 自然な感情を否定され、抑圧された経験
- 「怒ってはいけません」「そんなことを思うなんて悪い子ね」 と感情を抑え込まれた。
- 親が厳格で、特定の感情(怒り、嫉妬、自己主張など)を認めなかった。
- 例えば、「親に反抗すると愛されない」と感じ、本当は怒りがあるのに、従順で優しい子を演じた。
→ 本当の気持ちを抑えるために、正反対の態度を取るクセがつく。
2. 「愛されるためにはこうあるべき」という強い条件づけ
- 家庭のルールが極端で、「親切でいなければ愛されない」「優しくなければ見捨てられる」と学んだ。
- 例えば、兄弟を強く嫉妬していたのに、「お姉ちゃんなんだから優しくしなさい」と言われ続けた結果、「嫉妬心」ではなく「過剰な献身」になった。
- 「正しい態度を取らないと愛されない」と感じ、本心と逆の行動をとるようになった。
→ 「本当は嫌だけど、無理に優しくする」など、反動形成が起こる。
3. 家庭がアンビバレント(愛と支配が混ざっている)だった
- 「親の愛」が条件付きだったり、情緒不安定だったりした。
- 例えば、「母親がとても優しいときもあれば、突然冷たくなる」など。
- 「自分が悪い子だと見捨てられる」という恐怖があり、本音とは逆の「理想的な子供」を演じるようになった。
→ 本当の感情を否定し、「求められる人格」を身につける。
4. 「こうでなければいけない」という道徳観や価値観の押し付け
- 道徳や宗教的な厳しさの中で育った。
- 例えば、「性的な欲望は汚いもの」「怒るのは未熟で悪いこと」など、強い価値観を押し付けられた。
- でも、当然ながら人間にはそういう感情が自然にある。だからこそ、「そんな感情は持っていない!」と無理に正反対の態度を取る。
- 本当は欲求があるのに「清純で禁欲的なふるまい」をする。
- 本当は自己主張したいのに「献身的で控えめ」になる。
→ 「本当の自分を隠すこと」がアイデンティティになる。
5. 恐怖と無力感を打ち消すための反応
- 幼少期に怖い思いをしたり、無力感を抱いたりする経験があった。
- 例えば、「本当は怖くてたまらないのに、強がる」「本当は傷ついているのに、笑って誤魔化す」。
- 「怖い・弱い・傷ついた」という感情を受け入れるのがつらすぎるので、逆の態度を取る。
→ 「大丈夫!」「私はそんなこと気にしない!」と、強がることで心を守る。
まとめ
反動形成は、 「本当の感情を受け入れるのが怖すぎる」「その感情を持つことが許されなかった」 という背景から生まれることが多い。
そして、本来の気持ちを抑えるために、「正反対の態度」 をとるようになる。
- 「怒り」を抑えて、過剰に優しくなる。
- 「弱さ」を隠して、極端に強がる。
- 「性的欲求」を否定して、純粋さを強調する。
- 「自己中心的な欲求」を抑えて、過剰に献身的になる。