2025/07/15

自分のみ処理な感情を語るカウンセラー

 はい、これはとても重要な倫理的論点です。

「カウンセラーや支援者が、自分の未処理な感情をクライエントに語る」ことには、深刻なリスクがあります。


⚠️ なぜ危険なのか?

「語る内容の問題」ではなく、構造の問題だからです。

カウンセラーは、場の安全と境界線の保持者です。
その人が未処理の感情を持ち込むと、クライエントの内的世界はこうなります:


🧠 クライエント側で起こること

現象 説明
境界の混乱 「誰が支援者で、誰が受ける側なのか」が曖昧になる。自己開示ではなく“逆転移の押しつけ”になる。
心の防衛反応が働く 「この人、大丈夫かな?」「気を使わなきゃ」など、クライエントが自動的に“支援者役”にスライドする。
癒しの場が消える 安全な「自己探究の場」が、「誰かの感情を処理する場」に変わり、安心してもよいという空気が壊れる。
過去のトラウマが再演される 過去に「親の話を聞かされた」「大人を支えた」経験を持つクライエントにとっては、過去の再演=再被害になる可能性がある。

🪓 これは、「再養育」の場が、親子逆転された場に変質することを意味します。


❌ やってはいけない自己開示の例(未処理パターン)

  • 「私も昔、似たようなことがあって…」と泣き始める

  • 「正直、今のあなたの話、私もしんどいです」

  • 「実は私も離婚してて、子どもとの関係が…」

→ こうした開示が、カウンセラー自身の癒されていない痛みから出ているとき
クライエントはその場で**“聴き手”にさせられてしまう**。


✅ 開示が可能な唯一のケースとは?

  • カウンセラーが自分の経験を完全に統合済みであること

  • 目的が「共感の橋を架けること」であり、主役はあくまでクライエントであること

  • 語られたあとも、クライエントが安心して語り続けられる状態を保っていること


🧘‍♀️ 結論

支援者の自己開示とは、「語ること」ではなく、「自分の影響をどこまで制御できるか」に尽きる。


必要なら、「見捨てられたと感じたときのセルフ対話」や、「境界が破られた経験をどう回復するか」のワークもご提案できます。どうされますか?