カルマントライアングル(Karpman Drama Triangle)はもともと人間関係の中での三つの役割(加害者/迫害者、被害者、救助者)の間を人が無意識に行き来する構造を指しますが、これが「一人の個人の内面」で起きている場合も非常に多く、むしろその構造が外部に投影されて人間関係に表れているとも言えます。
🔄 カルマントライアングルが個人内で起こっている例:
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内なる被害者:「私はどうせダメ」「私ばかり損してる」「なぜ誰も助けてくれないの?」
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内なる加害者/迫害者:「お前は甘えてる」「そんなことじゃ成功しない」「もっと努力しろ」
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内なる救助者:「頑張らなくても大丈夫だよ、私がなんとかする」「代わりに○○してあげる」
この三者が頭の中で入れ替わり立ち替わり、内面で葛藤や罪悪感、自己否定、自己正当化などを生んでいる状態です。
🎯 解決の方向性:「トライアングルを降りる」こと
1. メタ認知する:三役を識別する
まず、自分の中でどの役が今、声を発しているかに気づく必要があります。
例:
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今「私が悪いんだ」と思っている → 被害者パート
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「あんなやつに負けるなんて…」→ 加害者パート
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「私はいつも人を助けすぎて疲れる」→ 救助者パート
2. それぞれの役の「背後にあるニーズ」を聴く
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被害者は:「理解してほしい」「休みたい」
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加害者は:「自分を守りたい」「コントロールしたい」「不安」
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救助者は:「愛されたい」「価値を感じたい」「見捨てられたくない」
三者とも、実は「安全・愛・承認」が欲しいだけです。
3. 大人の自己(Adult Self)を育て、統合する
この「大人の自己(観察し、選択する自己)」を育てることで、三役に巻き込まれるのを防げます。
🔧 具体的方法:
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日記や内的対話:「今、誰がしゃべってる?」「本当にそのやり方で大丈夫?」
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TEAモデルで分けて書く:
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T(思考):「私はもうだめだ…」
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E(感情):「悲しい、孤独、不安」
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A(行動):「無理して他人を助けてしまう」
→ 「この思考は、内なる被害者が言ってるのかも?」
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統合の問い:
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「それぞれの声に、どんなふうに寄り添ったらいい?」
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「この場面で、自分にとって一番成熟した選択ってなんだろう?」
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🕊️ 統合された状態とは?
カルマントライアングルのそれぞれの役割が、健全な形で自己の一部として機能し始めます:
役割 | 歪んだ形 | 健全な統合形 |
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被害者 | 無力・依存 | 自分の感情を素直に認め、助けを求められる |
加害者 | 批判・攻撃 | 境界線を守る力、現実的判断力 |
救助者 | 介入・自己犠牲 | 支援したい気持ちと、自分の限界を尊重する共感力 |
🌱 おすすめセルフワーク(まとめ)
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内的三役を図に描いてみる(顔・名前・セリフを与える)
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それぞれに質問する:
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「あなたは何を怖がっているの?」
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「あなたは誰を守ろうとしてるの?」
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「あなたがいなくなったら、何が起こると思ってるの?」
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大人の自分が、話を聴いて対話し、役割を引き受ける必要がないと伝える
もしご希望があれば、あなたの中の三役を一緒に言語化したり、対話用のスクリプトを作ることもできます。どうしますか?