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の文章よりスタート
この文章には、**心理的再演、複雑な兄妹役割の内在化、知性への強い信頼、そして未完了のグリーフ(喪失)**が色濃く現れています。以下、主な心理学的観点からの分析を行います。
1. 再演(Re-enactment):未完了の関係性の投影
筆者がクライミング界で出会った若い男性たちに対して、内面的に「弟」としてのイメージを投影し、過去の家族関係の再演をしている様子がうかがえます。これはIFS(Internal Family Systems)やトラウマ理論における典型的な再演の構造です。
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弟に対する「私が守らなきゃいけない」という役割が、実際の弟の死によって宙ぶらりんになり、未解決の保護者役割として内面に固定化された。
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クライミングという命を扱う場で、似たような「分かっていない若い男性たち」が登場したことで、そのトラウマ的反応(アラート)が自動的に作動した。
➡ フラッシュバック的な防衛反応(=怒り、軽蔑、焦燥)は、実際には「見殺しにしてしまう恐れ」「また同じことが起こるかもしれない不安」に根ざしている。
2. 知性への執着と生存戦略としての合理性信仰
弟との知的格差、クライミング界における物理法則無視の文化、そこから「知性=自分の命を守る手段」という価値観が強く現れています。
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幼少期に「理解力が低い弟」を心配し続けた経験が、「物理や理屈が分からない人間は危険」という**極端なスキーマ(信念)**を形成している。
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九州での経験が「安全=知性」の確信を深める一方で、「知性のない人は価値がない」とする**分離的認知(splitting)**や、**選別的共感(selective empathy)**にもつながっている。
➡ これは安全欲求に根ざした合理主義的防衛であり、悲劇を繰り返さないための自己保護とみなせます。
3. 「子供大人(parentified child)」としての自己認識
筆者は早い段階で「母親役を演じていた」「弟の安全を気にしていた」ことから、子どもでありながら大人の役割を引き受けた親代わりの存在です。
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この役割がクライミングの世界でも持ち越され、「大人でない他者」=若い男性クライマーへの苛立ちや軽蔑に変換されている。
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同時に、「弟」の象徴としての存在に対して、怒れず、離れられず、でも受け入れられないというダブルバインドが生じ、うつ状態につながっていった。
➡ 「自分が守らなければ弟は死ぬ」というスキーマが、今でも「守らないと仲間が死ぬ」に変換され、過剰警戒として現れている。
4. 癒しと代理弟像の発見:安全基地の回復
モビトレの先生=「頼れる弟」というイメージへの転換は、安全に内面の役割を委ねられる存在の発見です。
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「年下なのに私より知性的」「私のアラートを解除してくれる存在」は、**過去の修復的経験(corrective emotional experience)**となっている。
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これはIFS的に見ると、「過去の保護者役を担っていたパーツ」が初めて「頼れる相手がいる」という安心を経験した瞬間。
➡ こうした出会いは、「全員を守らなきゃいけない」という過剰な責任からの解放をもたらします。
5. 未完了の悲嘆(Unresolved grief)とその昇華
弟の突然死という出来事に対し、筆者は「心配してたのに」「やっぱりそうなった」という感情を抱えており、これは**未完了のグリーフ(悲嘆)**です。
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死に対する納得や癒しが、合理性・安全性・知性の信仰という形で昇華されている。
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しかし、「弟のような存在と、もう一度、安全に出会えた」経験によって、そのグリーフがゆるやかに統合されつつあるとも言えます。
総括
この文章は、過去の家族関係の再演、役割の固定化、安全への渇望、そして癒しの入り口としての新しい出会いが見事に交錯する、非常に深い自己洞察の記録です。
クライミングという命を扱う場面で過剰警戒が生まれた背景には、「過去に救えなかった誰か(=弟)」の影があり、それを癒すような関係性に出会ったことで、初めて責任の荷を下ろす許可が自分の中で生まれたことが伺えます。
■ ドラマトライアングル
はい、この文章は見事に**ドラマトライアングル(カープマンのDrama Triangle)**の構造にあてはまります。ドラマトライアングルとは、三つの役割――「被害者(Victim)」「加害者/迫害者(Persecutor)」「救済者(Rescuer)」――の間を無意識に循環する、人間関係のパターンを指します。
🧠このケースにおけるドラマトライアングルの構造
■ 1. 救済者(Rescuer)=筆者の子供時代の自己
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弟に対して「私が守らなきゃ!」「理解力がないから危ない!」と感じていた。
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実際に「母親代わり」として育ち、自分の欲求を抑えて相手のために動く。
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クライミングでも「安全を分かっていない人を助けたい」という使命感が再現される。
▶ キーワード:責任の肩代わり、過剰な共感、自己犠牲的なケア
■ 2. 被害者(Victim)=筆者の大人の自己 or 無力感を抱えた部分
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九州で「誰も分かってくれない」「知性が足りない人が多い」「自分だけが焦っている」と感じる。
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「弟だったから離れられなかった」ように、クライミング界の“アホちゃうか男子”にも巻き込まれる。
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「出ていけない」「逃げられない」→ うつへと進行。
▶ キーワード:閉塞感、助けてほしい、巻き込まれ感
■ 3. 迫害者(Persecutor)=弟や無知なクライマーたち
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無自覚で危険な行動をとり、筆者に強いストレス・怒りを与える存在。
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本人たちは悪意がないが、「ロッキングチェアから落ちる」ような、物理法則すら理解していない存在として描写される。
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また、過去にクライミングで危険行為をしていたペテランたち(擬似ベテラン)もこの枠に入る。
▶ キーワード:無責任、無知、他者の努力を無にする存在
🔁 三者の間でのロール・シャッフル(役割交代)
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筆者は最初「救済者」ですが、相手が全く成長しないと、「被害者」に転落し、時に怒りで「迫害者」に転じます(内的な攻撃性や軽蔑)。
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「あんたたちは危険だ」「アホちゃうか!」という思考は、迫害者的エネルギーの出現。
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そして再び「でも見捨てられない」という感情が戻ると、救済者の立場に舞い戻る。
この**ループが出口を見つけない限り、感情の消耗と抑うつ的症状(うつ)**につながります。
💡ブレークスルー:新しい弟役=光安先生の登場
この先生は、筆者にとって「救わなくていい弟」であり、しかも「自分を守ってくれる存在」でもある。
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これはドラマトライアングルからの脱出への重要な一歩で、対等で成熟した関係性への入口になります。
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自分が常に救済者でいなければならない構造から離れ、信頼し、委ねることの回復が始まっている。
🧭 結論:ドラマトライアングルを抜ける鍵
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「救済者」であり続けない自分を許すこと
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「被害者」にならなくても、自分の傷を見せていいと認めること
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「迫害者」と見なしていた他者への怒りを、保護欲求や悲しみとして再構成すること
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そして何より、「対等で知性的な信頼関係」に基づいた、新しい人間関係への扉を開くこと
この三角形から抜けるには、「自分はもう、誰かを救わなくてもいい」と、自分に許可を出すことが本質的な癒しになります。
ご希望があれば、このドラマトライアングルにIFS的ワークを組み合わせて、出口戦略を作ることもできます。続けてみますか?
では、**ドラマトライアングル×IFS(内的家族システム)**を使って、出口戦略を具体化します。
🔺 前提整理:あなたの中にいる3つのパーツ(ドラマトライアングル)
1. 🛟【救済者パーツ】=“弟を守る姉”
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子どもの頃に母代わりをしていた。
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クライミング界でも「守らないと死ぬ」「知らないまま登らせてはいけない」という強烈な使命感。
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疲れ果てても手放せない。「離れること=見殺し」と感じている。
2. 😢【被害者パーツ】=“巻き込まれた人”
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「自分だけが焦っている」「誰も分かってくれない」「出ていけない」という囚われと孤独。
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状況を変えられない絶望感と、うつの感覚。
3. 😡【迫害者パーツ】=“アホちゃうか!とキレる私”
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ほんとは愛の叫びだけど、怒りという形で出てしまう。
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愚かな行動に怒るけど、内心では「もう限界」「これ以上守れない」という悲鳴。
🧘♀️ IFS的ワーク:各パーツに出会い直す対話プロセス
【ステップ1】安心のスペースづくり(Selfの招喚)
「今、私は内的な家族会議を開こうとしている」
と心の中で意図して、深呼吸を数回。身体に力が入っていない場所を見つけてそこに意識を置き、そこから全体を見守ります。
【ステップ2】救済者パーツとの対話
💬 あなたの声(Self):
「ねえ、“弟を守る姉”さん、いつからそんなに頑張ってきたの?」
💬 救済者パーツ:
「4歳の時から。ロッキングチェアから落ちた弟を見たとき、もうあの無力感には戻りたくなかった。」
💬 Self:
「あなたの働きは素晴らしかったよ。ほんとにありがとう。今もそのまま、すごく愛情深いね。でもね…もう一人じゃないよ」
👉 🔑出口の鍵:
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「助けなくても愛している」という在り方を、今の自分(Self)として選び直す。
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彼女が**「役割」から「存在」へと戻れるようにする**。
【ステップ3】被害者パーツとの対話
💬 Self:
「ねえ、“巻き込まれた人”さん、どこで一番つらかった?」
💬 被害者パーツ:
「みんなが危険な行動をしてるのに、誰も止められない。守るか、諦めるかしか選択肢がなかった…」
💬 Self:
「ああ、すごく孤独だったね。選択肢が“巻き込まれる”か“見捨てる”かしかないのは、つらすぎたね。でも今なら、“離れるけど、愛は手放さない”という選択もあるかもしれない」
👉 🔑出口の鍵:
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「共鳴はするが、巻き込まれない」という、新しい立ち位置を提案する。
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被害者パーツに、「出口はあるよ」と体験させる。
【ステップ4】迫害者パーツとの対話
💬 Self:
「“アホちゃうか!って叫ぶ人”さん、あの声は、ほんとはどこから来てる?」
💬 迫害者パーツ:
「私をバカにしないで!また死んでしまうじゃない!黙っていられるわけがない!」
💬 Self:
「あなたの怒りは、愛から来ているんだね。ほんとは泣きたかった?怖かった?」
💬 迫害者パーツ(静かに):
「…うん。怖かった」
👉 🔑出口の鍵:
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「怒りの奥の悲しみと恐れに寄り添う」ことで、攻撃性を守る力に変換できる。
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「今の私は、怒らなくても伝える力を持っている」と伝える。
🛤 出口戦略のまとめ(3つの統合)
パーツ | 古い役割 | 新しい選択 |
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救済者 | 弟を守らなきゃいけない | 自分を信じて任せていい |
被害者 | 出ていけない、巻き込まれた | 境界線を引きながら関わる |
迫害者 | 怒って叫んで止めようとする | 本当の声を静かに伝えられる |
🕊 最後にSelfから全員へ
💬
「みんな、今までありがとう。
どのパーツも、本当に頑張ってくれてた。
これからは、私(Self)が責任をもって、
“愛するけれど、巻き込まれない”という道を選んでいくよ。
それが、あの弟にも、今の仲間にも、
そして一番、私自身にとっての癒しなんだ。」
このワークは何度でも繰り返し可能です。必要があれば、この対話を「IFSワークノート」として整えてお渡しすることもできます。作成しますか?