2025/04/01

【TA】YESBUT型の心理ゲーム解説

 交流分析(Transactional Analysis、TA)における「YES BUT」の心理ゲームは、非常に典型的で、しばしば人々の間で繰り返される非生産的な対話パターンです。このゲームでは、表面的には同意しているように見えて、実際には相手の提案や意見を受け入れないというものです。心理ゲームは、潜在的な目的を持って、感情的なやり取りを引き起こし、最終的にプレイヤー(相手と自分)の両方に満足感を与えない結果を生み出します。

「YES BUT」の心理ゲームの構造

  1. 最初の同意(YES)
    ゲームの開始時、参加者の一方は問題提起をして、もう一方が「はい、分かります」「それは良いアイデアです」と同意します。表面的には、同意したように見えます。この時点では、相手の考えを受け入れ、良い関係を維持しようとしています。

  2. 反論の提示(BUT)
    その後、同意の後に必ず「しかし…」という形で、反論が続きます。この「BUT」の部分で、提案に対する理由をつけて否定的な意見を述べるのです。この時、相手が提案したことが実際には受け入れられていないことが明確になります。

  3. 繰り返し(無限ループ)
    反論が続くたびに、相手が「でも、それならこうしてみたら?」などと新たな提案をしても、「YES BUT」のパターンが繰り返されます。双方がエネルギーを消費し、最終的には何も解決しないまま時間だけが過ぎてしまうことが多いです。

「YES BUT」の心理的な目的

  • 回避的なコミュニケーション
    「YES BUT」を使う人は、実際に相手の提案を受け入れることを避けるために、このゲームを行います。彼らは完全に拒否することなく、表面的には同意しつつ、実際には心の中で拒絶しているのです。これにより、対立を避けつつ、自分の立場を守るという心理が働きます。

  • 自己主張の回避
    同意の後に反論することで、相手との摩擦を最小限に保ちながら、自分の立場や意見を反映させることができます。このパターンは、自己主張が不安な人や対立を恐れる人に見られることがあります。

  • 感情的な満足感を得る
    反論を繰り返すことで、相手が「自分の意見を受け入れない」ことに対する感情的な反応を引き出し、無意識のうちに自分の気持ちを確認することができます。これにより、ゲームのプレイヤーは満足感を感じるかもしれませんが、その結果、相手はフラストレーションや混乱を感じることになります。

「YES BUT」のゲームが引き起こす問題

  1. 非建設的な対話
    何度も反論を繰り返すだけで、問題の解決には至りません。結果として、議論が進展しない、または最終的に何も決まらないことになります。

  2. 相手のフラストレーション
    このゲームは、相手が「提案をしているのに、自分の意見が無視される」という感覚を抱かせ、フラストレーションを生じさせます。相手は、何を言っても同じように「BUT」で否定されるため、無力感や怒りを感じることが多いです。

  3. 信頼の低下
    「YES BUT」を繰り返すことによって、相手との信頼関係が薄れていきます。相手は「この人は結局、何を言っても受け入れない」と感じ、対話の意味を見失うことがあります。

まとめ

「YES BUT」の心理ゲームは、最初は表面的に同意しつつも、実際には否定的な意見を繰り返すことで、対話を無駄にするパターンです。このゲームは、自己防衛や対立回避の手段として用いられることが多いですが、最終的には感情的な不満やフラストレーションを生むことが多いため、避けるべきです。心理的な成長のためには、もっと建設的で開かれたコミュニケーションを取ることが重要です。