ACE 質問票
■ 保護的小児期体験(positive childhood experience )
逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experiences, ACEs)を乗り越えたサバイバーに対して、成人後に「保護的小児期体験(Positive Childhood Experiences, PCEs)」を再構築することは、心の癒しと回復に重要な役割を果たします。成人後に「心の中の子ども」を保護し、癒すための具体的な事例を以下に挙げます。
1. 安全な人間関係を築く
- 具体例: 信頼できるパートナーや親密な友人との関係。
- パートナーや友人が感情を否定せず、共感を示してくれる。
- 「無条件の愛情」を感じられる経験。
- 小児期に得られなかった「受け入れられている」「守られている」という感覚を成人後に体験。
2. 楽しい遊びや創造性を取り戻す
- 具体例: 趣味やアート活動への没頭。
- 子どものころの好奇心を再発見する活動(例:絵を描く、ダンスをする、ゲームをする)。
- 自分の好きなことに没頭し、「自己表現」を自由に楽しむ時間を持つ。
- インナーチャイルドが「自由に遊んでいい」と感じられる体験。
3. 支え合えるコミュニティに参加する
- 具体例: 安全なグループやサポートネットワークへの参加。
- 同じ体験を持つ人々との交流(例:トラウマサバイバーの支援グループ、趣味のコミュニティ)。
- 孤独感を癒し、「ここにいてもいいんだ」と安心できる居場所を感じる。
4. 安全な身体接触やケア
- 具体例: マッサージやヨガ、セラピストとのワーク。
- 肉体的な安全を感じられる体験を通して、安心感を体に取り戻す。
- ヨガやマッサージなど、自己ケアを通じて「自分の体が大切に扱われる」という感覚を得る。
5. 無条件の受容を体験する場面
- 具体例: 動物との交流やペットの飼育。
- ペットは常に無条件の愛情を示してくれる存在であり、小児期に満たされなかった「愛される感覚」を補完してくれる。
- 動物との触れ合いは安全な愛着体験の疑似体験となる。
6. サポート的な大人との関係
- 具体例: メンターや指導者との信頼関係。
- 尊敬できる人物から適切な支援や指導を受けることで、逆境的な小児期に失われた「大人を信じられる感覚」を再構築する。(コメント:これはクライミングでできませんでした。山岳会への信頼、下がりまくりでした)
- 例えば、職場での上司、趣味の先生、セラピストなどがこの役割を果たすことがある。
7. 感情の表現を安全に行う場を持つ
- 具体例: セラピーやジャーナリング。
- カウンセリングやセラピーで感情を「ジャッジされず」に表現できる体験。
- 日記やアートセラピーを通じて、子どものころ抑圧されていた感情を言語化または具現化する。
8. 自分のための儀式や特別な時間を持つ
- 具体例: 誕生日や特別な日のセルフケア。
- 自分の誕生日を自ら祝う、贅沢な時間を過ごすなど、「自分が特別である」と感じられる経験。
- 小児期に祝われなかった記念日を大人になって祝うことで、過去の欠損を埋める。
9. 自然との触れ合い
- 具体例: 森林浴やハイキング。
- 自然の中で過ごすことで「安全で穏やかな環境」を体験する。
- 自然との触れ合いは、感情を調整し、自己の価値を感じやすくする効果がある。
10. 自分への優しさを意識する
- 具体例: 「子どもに話しかけるように」自分に優しい言葉をかける。
- 自分の中のインナーチャイルドに名前をつけ、その子を守るような言葉を使う(例:「大丈夫だよ、〇〇ちゃん」)。
- 子どものころに欲しかった「安心感」を自分で与えることで、自己肯定感を高める。
補足
これらの「成人後の保護的小児期体験」は、ACEによって傷ついた心を癒し、成人としての健全な自己概念を再構築する助けとなります。大切なのは、過去を乗り越えることではなく、今この瞬間に「新しい小児期体験」を作り上げることです。