2025/05/09

【自分用ツール】モチべーショナルインタビュー

 モチベーショナル・インタビューイング(Motivational Interviewing:MI)は、

「本人の中にある変化への意欲(モチベーション)」を引き出すための対話技法です。

心理的抵抗がある人に「やる気を出させる」のではなく、
“やる気の芽”を見つけて育てるのが目的です。


■ モチベーショナル・インタビューの4原則(OARS)

  1. Open questions(開かれた質問)
     →「なぜそう感じたんですか?」「どうしてそれが大切なんでしょう?」
     相手の考えを引き出すため、イエス・ノーでは答えられない質問を使う。

  2. Affirmation(承認・肯定)
     →「それだけ考えてるなんて、すごく真剣に向き合ってますね」
     本人の強みや努力を認め、自己効力感を高める。

  3. Reflective listening(反射的傾聴)
     →「つまり、今は不安だけど、少し変わってみたい気持ちもあるんですね」
     相手の言葉の裏にある感情や意図をくみ取って言い返す。

  4. Summarization(要約)
     →「今日は、変わりたい気持ちと、不安が両方あるって話をされましたね」
     セッションの流れや本人の気づきを整理し、意志決定を促す。


■ 変化のステージに応じた対応

MIは、クライエントの**変化の準備度(5段階モデル)**に合わせて対応します。

ステージ 特徴 MIの対応
無関心期 変わる気がない 判断せず、現状のメリット・デメリットを探る対話
関心期 変わったほうがいいかも… 「変わる理由」を本人の言葉で語らせる
準備期 ちょっとやってみようかな 小さな一歩の計画を一緒に立てる
行動期 実際に始めている 行動の維持を支援、障害の予防策を一緒に考える
維持期 続けている 成功体験を強化、再発予防に向けた伴走

■ ポイントまとめ

  • 相手に「変わりたい」と言わせるのではなく、言いたくなるような場をつくる

  • 押しつけはNG。内発的動機(本人の価値・目標)に光を当てる

  • 「葛藤」こそが変化の入口。**両価性(ambivalence)**を大切に扱う


■ 

了解です!
以下に**モチベーショナル・インタビューイング(MI)**で使える、実践的な質問例を「変化の段階」ごとに整理してお届けします。
すべて、「相手の中にある“変わりたい気持ち”を引き出す」ことを目的にしています。


🌀【1. 無関心期】

(変わるつもりがない・必要性を感じていない)

🗨️「正しいことを教える」より、「話を聴き、気づきを促す」質問が重要。

  • 「今のやり方で、どんなところがうまくいってると思いますか?」

  • 「周りの人は、あなたのことで何か心配してることってあると思いますか?」

  • 「今、変わることに関してどんな気持ちがありますか?」

  • 「これまでに誰かに“こうした方がいい”と言われたことはありますか?どう感じましたか?」


🔁【2. 関心期】

(変わった方がいいかも…と思い始めている)

🗨️ 変化への「両価性(揺れる気持ち)」に寄り添う。

  • 「変わらないことで得られるものって、何があると思いますか?」

  • 「逆に、もし変わったら、どんな良いことがあるでしょう?」

  • 「そのままでいたい気持ちと、変わりたい気持ちが両方あるように感じます。どうですか?」

  • 「今のままでいた場合、半年後・1年後はどうなっていると思いますか?」


🚪【3. 準備期】

(実際に変わることを考え始めている)

🗨️ 小さな一歩を一緒に探す。

  • 「もし1つだけ今週やることを選ぶとしたら、何を選びますか?」

  • 「最初の一歩として、どんな準備が必要そうですか?」

  • 「これをやってみようと思うとき、何が障害になりそうですか?」

  • 「それを乗り越えるために、あなたならどんな工夫ができそうですか?」


🛠【4. 行動期・維持期】

(行動を始めている・続けている)

🗨️ 意欲の維持と、成功体験の強化を。

  • 「この前やってみた中で、うまくいったことは何ですか?」

  • 「困難だったけど乗り越えられたことってありましたか?」

  • 「続けるために、どんな工夫をしてみたいですか?」

  • 「一番の味方になってくれるのは、どんな人だと思いますか?」


🧠【その他:変化言語を引き出す質問】

「変化言語(Change Talk)」とは、
本人の口から出る「変わりたい理由」や「やってみたい気持ち」を指します。

  • 「なぜ、今ここに来ようと思ったんですか?」

  • 「もし変われたら、どんなふうに生活が変わると思いますか?」

  • 「一番大事にしたい価値って、何ですか?」

  • 「今、何かが“引っかかってる感じ”ってありますか?」


■ CT事例

もちろんです!
「変化言語(Change Talk)」とは、クライエントが自発的に変わろうとする意志・理由・希望を口にする発言のことです。
モチベーショナル・インタビューイング(MI)では、この言語を聞き逃さず、育てるのが最重要ポイントになります。


🔥 代表的な「変化言語(Change Talk)」の種類と事例

MIでは「DARN–CAT」というフレームで分類されます:


DARN(まだ行動には至ってない段階の変化言語)

種類 説明 発言例
Desire(願望) 変わりたい、変えたいという気持ち 「もうこんな生活やめたい」「もっと自由に呼吸したい」
Ability(能力) できるかも、やれそうという見通し 「やろうと思えばできる気がする」「一歩ずつなら、私でも進めそう」
Reason(理由) なぜ変わりたいのか、理由を語る 「このままだと家族に申し訳ないから」「健康を崩したくないんです」
Need(必要性) 変える必要があるという認識 「そろそろ本気で何か変えないと」「このままだと本当にヤバい気がする」

CAT(実際の行動に近づいた段階の変化言語)

種類 説明 発言例
Commitment(決意) やると決めた・やる気を表明 「週に一度は運動します」「もうやめるって決めました」
Activation(始動) 準備を始めている 「まずは資料を集めてみました」「友達に相談してみようかと」
Taking steps(実行) 実際に行動を起こした 「昨日はいつもの半分の量にしました」「今日、カウンセリングに来たこと自体が大きな一歩です」

👂「変化言語」の拾い方・育て方(例)

🗨️ クライエント:「もう疲れました。こんな関係、続けていくのしんどいです」
🎧 カウンセラー:「“こんな関係”を続けたくない気持ちがあるんですね。どんなふうに変えられたら、楽になりそうですか?」


🗨️ クライエント:「やろうと思っても、どうせまた三日坊主になるし」
🎧 カウンセラー:「それでも“やろうと思った”っていう気持ちが、ちゃんとあったんですね。それは何か、変えたいことがあるってことですか?」


必要であれば、「Change Talk」を育てる反射的応答のテンプレート集もご提供できます。興味ありますか?

■ 反射的応答のテンプレート集

お待たせしました!
以下に「変化言語(Change Talk)」を育てるための反射的応答(Reflective Responses)テンプレート集をお届けします。
これはモチベーショナル・インタビューイング(MI)の中核技法であり、
クライエントの「変わりたい気持ちの芽」を
否定せず、そっと水をやる
ような言葉かけです。


🌱「Change Talk」を育てる反射的応答テンプレート集

※「あなた=クライエント」、MI実践者=支援者


🟢 Desire(願望)に応答する

クライエント:「もっと落ち着いた毎日を送りたいんです」

反射的応答例:

  • 「“落ち着いた生活”を望んでるんですね」

  • 「今のままだと、ちょっと違うと感じてるんですね」

  • 「その“もっと”って、どんな毎日ですか?」


🟡 Ability(できるかも)に応答する

クライエント:「やろうと思えば、できる気もするんです」

反射的応答例:

  • 「“できそう”って感覚が、少しあるんですね」

  • 「その“できる気がする”って、いつ感じましたか?」

  • 「じゃあ、できたことが過去にもあるのかも?」


🔶 Reason(理由)に応答する

クライエント:「親に迷惑かけたくないから、そろそろ…」

反射的応答例:

  • 「親御さんへの思いが、行動のきっかけになりそうですね」

  • 「“そろそろ”って思える何かが、今あるんですね」

  • 「“迷惑かけたくない”って、あなたにとってどんな意味がありますか?」


🔴 Need(必要性)に応答する

クライエント:「ほんとは、こんな生活、変えなきゃって分かってるんです」

反射的応答例:

  • 「“変えなきゃ”って気持ちは、前からありましたか?」

  • 「その“分かってる”っていう直感、けっこう大事かもしれませんね」

  • 「どこかで、“このままじゃダメだ”って声がしてるんですね」


🔷 Commitment(決意)に応答する

クライエント:「次回までに、やってみます」

反射的応答例:

  • 「“やってみよう”って決めたんですね」

  • 「どうして今回、それをやるって思えたんでしょう?」

  • 「どんなふうに進めるか、もうイメージありますか?」


🟣 Activation(始動)に応答する

クライエント:「昨日ちょっとだけ調べ物してみたんです」

反射的応答例:

  • 「行動を起こし始めたんですね」

  • 「それって、あなたにとって大きな一歩だったかもしれませんね」

  • 「何かが動き出した感じ、ありますか?」


🟤 Taking Steps(実行)に応答する

クライエント:「昨日、実際に言ってみました」

反射的応答例:

  • 「もう実際に行動に移してるんですね」

  • 「どうでした?やってみた感触は」

  • 「やってみたこと自体が、大きな変化への第一歩ですね」


💡補助的テンプレ:展開を促すフレーズ

  • 「それについて、もう少し詳しく聞かせてもらってもいいですか?」

  • 「それ、あなたにとってはどんな意味がありそうですか?」

  • 「その“変えたい気持ち”が出てきたのって、いつごろからですか?」

  • 「どうして今、それを話してくれたんでしょう?」


このテンプレートは、**内的動機づけをつぶさず、言語化を助けるための「光のレンズ」**です。
必要があれば、PDFに整えたり、MI練習会用のミニ冊子にもできます。どう仕上げましょうか?