🔹 物語:「風と剣の巫女」
遥かなる山の王国、ルミエールには、一人の特異な女性がいた。彼女の名はセリカ。彼女は、戦士の父と賢者の母のもとに生まれ、幼い頃から剣と知恵の両方を磨いていた。
🔸 王国を救う者
セリカは、男たちと肩を並べて戦場に立つ剛胆な戦士でありながら、遠くの未来を見通す洞察力を持つ巫女でもあった。
しかし、王国の人々は彼女を恐れた。
「女の身で剣を持つとは」「巫女のくせに理屈を語るとは」
彼女の持つ二つの力は、時に人々を困惑させた。
そんなある日、王国は隣国の侵略を受ける。将軍たちは武力で迎え撃とうとするが、セリカは言った。
「力だけでは勝てない。敵の動機を見極め、戦わずして勝つ道を探すべきだ」
彼女の言葉に耳を貸したのは、若き王レオナールだけだった。
🔸 剣か、知恵か
セリカは剣を手に最前線に立ち、同時に敵国の王子との交渉も試みる。
剣を抜けば勝てるかもしれない。しかし、それでは争いは終わらない。
知恵を尽くせば、血を流さずに未来を切り開けるかもしれない。
彼女は自ら戦いながらも、敵の王子に問いかけた。
「お前が本当に欲しいものは何だ?」
王子は答えた。「戦いの中に、父に認められる証を見つけたいだけだ」
セリカは微笑み、剣を鞘に収めた。
「ならば、お前が戦わずして証を立てる方法を教えよう」
彼女は、戦わずして敵軍の指導者を味方につけ、王国に平和をもたらした。
剣と知恵の両方を持つ者だからこそ、できたことだった。
🔸 終わりに
王はセリカに言った。
「お前は剣を持つ戦士でもあり、未来を見通す巫女でもある。まるで、風と剣の二つを操る者だ」
セリカは笑った。
「どちらか一つしか選べないなど、誰が決めたの?」
こうして、「風と剣の巫女」 の伝説は、長く語り継がれることとなった。