「自己の価値や表現を、他者の視点を通して確認しながら進んでいく」以外の在り方には、いくつかの方向性があります。それぞれの方法には異なる心理的なアプローチがあり、どの方法がしっくりくるかは人によって異なります。
① 内的基準による自己評価(自己完結型)
🔹 他者の視点ではなく、自分の内側に評価軸を持つ方法
- 自分の中に「これが良い」と思う基準を確立する
例:「この絵は、私が描きたかったものに近づいたから良い」「私はこの作品が好きだから、それで十分」 - 他者の評価がなくても満足できるマインドセットを持つ
例:「誰かが飾るかどうかは関係なく、私はこの作品を大切に思う」 - 「自分にとっての完成」を自分で決める
例:「この段階で止めようと決めたから、これが完成だ」
🔹 心理学的視点
👉 「自己決定理論(Self-Determination Theory)」の 「内発的動機(Intrinsic Motivation)」 に基づく考え方。
👉 フロー状態(Flow) の概念とも関連し、創作自体が目的であり、外部の承認は不要。
🔹 実践方法
✅ 「これは自分の理想に近いか?」と問いかけ、他者の評価を挟まない。
✅ 日記や記録をつけ、「自分が良いと思った理由」を明確にする。
② 創造のプロセスを「自然現象」として捉える(無執着型)
🔹 作品や表現は「ただ生まれるもの」と考え、価値判断を手放す方法
- 「この絵が上手かどうかではなく、私は今これを描きたかった」
- 「私はただ表現がしたいだけで、それが良いか悪いかはどうでもいい」
- 「この作品は、私を通ってきただけのもの」
🔹 心理学的視点
👉 禅の考え方に近く、「無執着(Non-Attachment)」の境地に近い。
👉 「マインドフルネス」 の概念を取り入れ、評価をせずに「ただそこにあるもの」として受け入れる。
🔹 実践方法
✅ 「評価せずにただ作る」を習慣化する(例:何も考えずに10分間絵を描く)。
✅ 作品を手放すプロセスを楽しむ(例:「この絵は一度描いたら、次の瞬間には過去になる」)。
③ 表現を「探求」として捉える(探究型)
🔹 価値判断よりも、「自分がどこまで行けるか」という実験として楽しむ
- 「今の自分にとってのベストを試してみる」
- 「次はどうなるか?」とワクワクしながら進む
- 「完成度よりも、どんな変化が起こるかを見てみたい」
🔹 心理学的視点
👉 「グロース・マインドセット(成長マインドセット)」 に基づき、完成度よりも進化の過程を重視。
👉 「プロセスが目的になる」という視点で、最終的な評価は無意味になる。
🔹 実践方法
✅ 「この作品で自分が試したこと」を言語化する(例:「今日は色使いを実験した」)。
✅ 「次の作品で何を試すか?」を考えることで、自己評価を超越する。
④ 自己表現を「対話」として捉える(共鳴型)
🔹 他者の視点は関係なく、「私はこう感じる」というシェアとして表現をする方法
- 「私はこれを作りたかった。それをどう感じるかは相手次第」
- 「これは単に、私が世界に発したひとつの言葉のようなもの」
- 「誰かが反応しても、しなくても、それは自然なこと」
🔹 心理学的視点
👉 「芸術家の役割」のひとつとして、「表現は他者とのコミュニケーションの手段」 という考え方。
👉 ユング心理学の「元型」としての表現」 に関連し、「私を通じて何かが生まれ、それが広がる」という感覚。
🔹 実践方法
✅ 「誰かのためではなく、ただ感じたことを伝える」と決める。
✅ 作品を発表する際、「どう思われるか」ではなく、「私はこうだった」とだけ表現する。
⑤ 「自分=表現」として生きる(自己同一化型)
🔹 もはや「自己表現」ではなく、「自分の存在そのものが表現」という境地
- 「私は私のままでいる。それがすべて」
- 「何を作るか、どう評価されるかは関係ない」
- 「生きているだけで、すでに表現している」
🔹 心理学的視点
👉 「自己実現(Self-Actualization)」の最終段階(マズローの欲求階層モデル)。
👉 老子や禅の思想に近く、「表現しようとしないことが、最も深い表現になる」という概念。
🔹 実践方法
✅ 作品を作ることと、日常生活の境界をなくす(例:「料理も、話すことも、表現の一部」)。
✅ 「評価の枠を超えた創造」の境地に達することを目指す。
結論:他者の視点を通さない「自己の在り方」
🎨 A. 内的基準を持つ(自己完結型)
→ 「私はこれが良いと思う、それでいい。」
🌊 B. 無執着の境地(自然現象型)
→ 「表現はただ生まれるもの、そこに評価は不要。」
🔍 C. 探求として楽しむ(探究型)
→ 「表現は挑戦のプロセス、結果よりも変化を楽しむ。」
💬 D. 表現は対話(共鳴型)
→ 「私はこう感じた、それをどう受け取るかは自由。」
🌱 E. 自分=表現(自己同一化型)
→ 「生きていることが、そのまま表現になる。」
この中で、「しっくりくる」と感じるものはありますか?💡